一大事である。
荒波立つ事のない日常生活を平々凡々に暮らしていても、そういう事態になる事はありうる。
例えば一人暮らしの部屋、夕食時に黒い人類の先輩が厳かに出現する。
なかなか一大事である。
敬意を表しつつも粛々とご退出願わねば、さし当たって夕食の平穏は保てない。
あるいは自転車に乗って街に出て、店先にほんの5分止めていたそれがなくなっている。
それなりに一大事である。
盗難届けを出すか迷った挙句、自転車の登録番号を控え忘れていることに気付いたりもする。
で、全く違う方向に話は進むのであるが。
というより、以上の話は以下の話とは今のところ全く関わりがない。
では文章の最後に、推理小説の巧妙な伏線がカギとなって謎が解明されるかのように、
全てが一つにつながるかと言えば多分そんなことはないだろう。
書いている本人が言うのだから間違いはない。
かもしれない。
・・・などという戯言はともかく、本題(の戯言)である。
大事にされていない人、自分を大事にしていない人、あるいは大事にされていない
(自分にとっては)大事なもの。
そういうものを見ると、ひどく哀しくなる。
周囲の誰からも大切にされていない人、親に大事にされていないのであろう赤ん坊。
自分を大事に出来ず、結果として人を大事にする事を知らず、優しくもなれない人。
あるいは、おそらくあちこちにガタが来て乗られなくなって街角に打ち捨てられている自転車や
バイクたち。
かと言ってポイ捨てされた空き缶を見て心痛める訳でもなく、ごみはゴミ箱に、と思うだけであるが、まぁそれはどうでもいい。
空き缶はともかくとして、残念ながらそういう心痛めるモノや人にしばしば出会ってしまう。
自分に出来ることはなく、かといって絶望しても仕方なく、するほどのことでもなく、ただ哀しい、というような。
何故と問うても不毛な気がするので、もう少し違う感慨をしてみたい。
とりあえず、この”大事にすること”、”大切にすること”というのは、とても大事なことで大切なことだと思うのだ。
対象は、この際何でもいい気がする。
植物を大事に慈しみ育てることの出来る人は、きっと人にも優しく出来る、少なくともその心は知っているように思う。
身の回りのものを大切にする人は、その延長で人を大事にすることも出来るのではないだろうか。
イメージで物を言うのは何だが、パソコンを大事にする人も・・・・きっとそうである。かもしれない。
とにかく、その対象に関心を持ち、心を砕き、親身になって考える。
それは割と、根本的な感情なり人間の性質なりではないだろうか。
愛玩動物などという(字面的にはひどい気がするが)言葉もある。
余談だが、ペットの歴史というのは相当古いらしい。「日本人と犬」に限っても、”ここ掘れワンワン”の花咲か爺さんの
時代(室町〜?)から付き合いはあるのだろう。
8千年前の縄文遺跡から埋葬された犬の骨が見つかった例もあるのだとか。なんとまぁ、である。
具体例はそれこそ幾らでも挙げられようが、とにかく人間にはそういう、何かを大切にする・可愛がる感情があるのかもしれない、と思う。そして、それらは敢えて言えば人間本来の感情ではなかろうか。
翻って昨今の色々なニュースから見る(最近新聞・TVは余り見ていないが)日本の社会というのは、どうもこの”大切にする”ことが見失われがちになっているような気がするのだ。
(そういえばいつだったか、作家の高村薫がそんなことを新聞のコラムで言っていたのを思い出す。)
親を殺し、動物を殺し、赤の他人を殺し、わが子すら殺してしまう。
魅力的なモノはたくさんあるのに、それを使う人間の側の魅力が目減りしていってしまう。
飽食の時代と言われて久しい(誰が言い出したのかなどは知らないが)なか、消費者は満腹の王様に例えられる。
あまり心楽しくない状況である。少なくともそういう状況を、新聞やTVやその他メディアは映し出しきたようだ。
モノが溢れていなくてもいい、いや、溢れているからこそ自分にとって大切なものを見分け、そこに愛情を注ぐ。
あるいは大切な人を見つけ、(身近に居るかも知れないしいつか出会うかも知れない)その人たちを大切にする。
そして自分を大事にする。
それって割と大事なことではなかろうか。
ところで、某Web上の国語辞典で「一大事」を引いてみる。
いちだいじ 3 【一大事】
(1)重大な事件。容易ならざるでき事。
「―が起こる」
(2)〔仏〕
(ア)仏が衆生(しゆじよう)救済のため、この世に現れるという大事。
(イ)最も大切なこと。悟りを得ること。
三省堂提供「大辞林 第二版」より
なんと。
仏教の用語であるではないか。一大事とは、最も大切なことだそうだ。
やっぱりね。うまいことつながった。
ような気がするとしたら、それは大いなる錯覚である。
書いた本人が言うのだからきっと間違いない・・・・
#なんとも実にナンセンスなものをだらだらと書いてしまったものである。
#まぁ、そんなものであろう。個人のWebページなんて。
#お気楽ページ、久しぶりの更新。次はいつになるやら・・・・
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