Leicester, UK, vol.2

準備編

なんとまたレスターに行くことになった。また性懲りもなく記録をつけようと思う。
前回の教訓を生かし、短くかつ要点をついた面白いものにしたい。
重要なことはロードできないくらい巨大なhtmlファイルにならないようにすることである。

今回の滞在は80日と前回よりだいぶ長い。そのため、TCは使わないことにし、
現地通貨でATMから引き出しができるカードを作った。
これは前回、第一勧銀で作ろうとして時間がたりず断念したものである。
今回は動き出しが早かったため問題なくつくることができた。
問題はレスターのATMで使えるかどうかだ。
ロンドンにはこのカードが使えるATMがあるそうなので、
いざとなったらロンドンまで金を下ろしに行けばいいのでさして心配ではない。

中央生協の旅行センターに、保険に入りに行く。数日前に例のテロが起こったこともあって、
保険のかけ方などを伊良部に似た店員さんに詳しく相談しようと思って行ったのだが、彼はいなかった。
まさかのノースロー調整である。もしくは、伊良部本人もろとも解雇されたか?
結局4万円の保険に加入した。死亡すると最大一億円が父母に行くことになるようだ。
まあ大丈夫でしょう。心配ご無用。

出発前日に引き出しを整理していたら、この前の滞在で使い残したTCを発見。500ポンドもある。
完全に忘れていた。これで当分の間、カードでお金を下ろさなくてもよさそうだ。

今回の滞在に際して、破れていたジーパンを全てリペアに出した。
京都大学では破れているジーパンをはいていてもなんの問題もないのだが、
外国ではさすがにまずいという人道的な判断によるものである。
細川の破れかぶれジーンズの熱狂的なファンのみなさまごめんなさい。

22/09/2001 (Sat) - 23/09/2001 (Sun)

今回も例にもれず、前日の深夜遅くまで荷物と格闘していた。なんでいつもこうなのか。
しかし、一度いったことのある場所なので荷造りも少し楽だったかもしれない。
その気の緩みが重大な忘れ物を引き起こしているような気もする。
まあなにか忘れているものがあったら向こうで買えばいいだろう。余裕である。

今回は関西空港出発が午後の便なのでゆっくり起きても大丈夫なのがありがたい。
荷物と戸締りの最終確認をして、3時に下宿を出る。
関西空港まではいつものようにはるかで向かう。5時に関西空港到着。

タイ航空のカウンターでチェックインを済ませ、見送りに来てくれていた友人と関空2階の
スターバックスへ。美味しいコーヒーとはしばらくのお別れになると思われるので、
Tallサイズを注文し、ごくごく飲む。やっぱりおいしい。
今回はイギリスでは紅茶を飲もうと思う。前回は主にコーヒーを飲んでいたがまずかったので。

先日のテロのこともあって、飛行機に乗るのが正直少し怖い。
そんなことをぐじぐじ言っていると、友人に、「あんたほんまにへタレやな」となじられる。
といっても、WTCに突っ込む飛行機のあの映像を見たら誰だっていやだと思うけどなあ。
しかし、へタレと言われっぱなしでは男がすたるので、気丈な振りをして搭乗口へ向かう。
手荷物検査や出国手続きがテロの影響で混乱しているという話だったがそうでもない。
逆に、日本人用の出入国カードがなくなったので、出国手続きは簡単になっていると思う。

搭乗口の前で椅子にすわってボーディングを待っていると、
向かいの椅子にターバンを巻いた髭の男が座る(作り話ではない、信用して欲しい)。
ビンラディン氏の息のかかった人かもしれないと思うと、また怖くなってくるが、
Universal Studio Japanの手提げ袋を持っていることを確認しひと安心する。
やはり自分はへタレと言われてもしょうがない臆病者らしい。

8時にタイ航空755便離陸。タイのバンコク国際空港までは5時間30分である。
機内食を一度食べた他はずっと寝ていた。ここ数日の疲れが良い方向に働いてくれた。
バンコクで飛行機から降りるとかなり蒸し暑い。雨も降っている。これが東南アジアか。
空港のなかも雑然としていて、カオスの度合いが強い。深夜にもかかわらず、
免税店には、様様な人種が入り乱れている。ここは24時間営業ですか?
今回はすぐに乗り換えで詳しく見物する暇など当然無いがいちどきちんと旅行してみたい国だ。

ここでロンドンヒースロー空港行きのタイ航空910便に乗り換え。
時間があまりなかったので、急ぎ足で空港内を移動する。
おかげで、無事乗り換えることができ、25時過ぎに飛行機はバンコク空港を離陸。
隣の席には、「大和魂」というプリントの入ったTシャツを着た欧米人のおじさんが座る。
大和魂の素晴らしさについて意見交換を行いたかったが、乗り換えた後も、
睡魔の力は衰えず爆睡してしまう。詳しい話はできずじまい。
テロが怖いとか言っていたわりには、寝てばっかりであった。これを杞憂と言う。
翌朝の8時にヒースロー着。大和魂の人ともここでお別れ。

前来た時も思ったが、ヒースローの入国審査は明らかに人が足りていない。
今回も激しく待たされた。一時間以上かかったと思う。百万遍マクドナルド以上だ。
EU圏外の人はかなり余裕を見ておかないといけないと思う。
9時30分に地下鉄ピカデリーラインにのって、St.Pancras駅へ。
ピカデりーラインはヒースローからセントラルロンドンを着きぬけてレスター方面への
電車が発着するSt.Pancras駅までダイレクトに連れていってくれる。所要時間50分。
10時30分の電車を捕まえたかったので、地下鉄を降りて走る。速攻でチケットを買い、
Lester教授の家に電話し、奥さんに10時30分の電車に乗る旨を伝え、電車に乗る。
ぎりぎりセーフとはこのことだ。次の電車は11時でしかも鈍行だったのでどうしても乗りたかったのだ。
12時過ぎにレスター到着。共同研究をやっているEmmaが車で迎えに来てくれていて、
ホテルまで荷物を運んでくれる。Lester教授は息子を大学まで送っていってまだ帰ってこないため、
代わりに来てくれたそうだ。ありがたい。後はホテルにチェックインして、再び眠る眠る。

25/09/2001 (Mon)

いよいよ今日から大学。といってもこの前来たのはたった7ヶ月前なので、特に違和感もなく
動き出すことができた。しかし、英語の聞き取り能力は再びゼロになっていて、
コーヒーブレイクの際の会話はてんでわからない。何を話しているかもわかりません。

大学は今日から新学期でRadio and Plasma Physcis Groupも新しい学生を受け入れる準備で
てんやわんやという感じ。えらいときに来てしまったものである。まだ彼らの机の場所も
決まっていないようで、机がもらえるかどうかはまだわからない。
こちらとしては、コンピュータルームの端末が使えれば問題ないのでどちらでもいいことを伝える。

午前、午後とも京都から解析のプログラムやデータを持ってくる作業をする。
こういう作業をすると普段からどのようなプログラムを書いたり、どのようなデータ環境を
構築すれば良いかがわかってくる。移植しやすいのが一番だ。
最近のプログラムは幾分そこらへんがわかってきていたので、楽に移植できるが、
昔のやつはまったくだめである。半分書きなおしのようなものもある。
多分この作業で数日は潰れるような気がする。

5時に大学を出て、今回の滞在中お世話になる、Emmaの家に行く。
前回は大学の寮のようなところに泊まったのだが、今回は新学期ということもあって、
寮にあきがなかったのだ。そこで、Emmaが助け船を出してくれたということである。
Emmaは同じグループのLisaと家を分け合ってすんでいる。
そこのゲスト用のへやを特別に貸してくれたのだ。とてもありがたい。
部屋はさすがに広くはないが、寝るだけなので何の問題もない。
リビングやキッチンも勝手に使って良いということなので自炊になる。

Emmaの車で早速自炊用の食材を買いに行く。
近くにかなり大きなスーパーマーケットがあり、ここでなんでもそろう。
ペーコンやソーセージ、ピザなどジャンクフードばかりを買ってしまったような気がする。
帰って、ベーコンとピザを食べる。やはり高カロリーだな。
これは気をつけなければ。自炊で好きなものが食べられるということは、
好き放題食べるということを意味し、それはすなわち体重増加を意味する。

まだ、時差ぼけが少し残っていて、10時ごろには眠くなったので、
シャワーを浴びて寝た。明日から本格的に頭を回さねば。

25/09/2001 (Tue)

8時30分起床。まだ誰も起きていない。ひとりだけばっちり目が覚めている。
他人の家に居候しているときに、一人だけ起きていてもどう動いてよいやら困るものである。
あまりがちゃがちゃと動き回るのもどうかと思うし、ずっとベッドにいるわけにもいかない。
とりあえず、静かに小便などをしてみるも、EmmaもLisaも起きてこない。深い眠りのようで。
しょうがないので、キッチンで昨日の残りのピザなどを電子レンジで温めて食べる。

ピザを食べ終わったころに二人が起きてきて朝の準備が始まる。
9時30分頃に3人でバスに乗ってご登校。バスは大学まで65p。100円バスのようなものだ。
歩けない距離ではないし、実際帰りは歩いているのだが、朝はバスなんだそうだ。
5分もかからずに大学に到着。すぐに朝のコーヒーブレイク。
何にも仕事をしていないのに休憩である。すごい贅沢を感じる。
京都で時間にある程度追われているような生活をしているためか、
このようなゆったりとした感じに対して非常に良い印象をもってしまう。

Lester教授と話をして、明日研究の話をしようということになっているので、
見せる図などを簡単ではあるが用意をする。果たして何を研究するのでしょう?

5時30分に歩いて帰宅。外はまだ明るく、帰るのが少しもったいない気がしてしまう。
ここらへんはまだまだ、日本の生活習慣で考えてしまうところである。
こちらの人は5時にはさくさく帰る。京大では5時から本腰をいれて仕事みたいな部分も
あったりするので、全くの逆である。どちらがいいのかはよくわからない。

夜ご飯は、スパゲティナポリタン。といっても自分で作ったのではなく、
Emmaが作ったものをもらって食った。自立した食生活ははやくも破綻。

夜はクイズミリオネアUKバージョンと欧州チャンピオンリーグダイジェストを見る。
なんという贅沢。京都ならまだ大学でがちゃがちゃやっている時間だ。

26/09/2001 (Wed)

今日は、朝歩いて大学まで行ってみる。
今は、まだあまり寒くはないので歩くのは苦ではない。
本格的に寒くなるまでは歩いてみようと思っている。
お金の節約になるし、運動にもなる。

午後4時からLester教授とこれからの研究方針について話をする。
レスターで何をやるかを具体的に決めるということである。
30分ほど話をした結果、前に来た時にやりのこしたことを突き詰める路線と、
新しく始める路線の二つの方向へ進めましょうということになる。
新しいほうはだいたいのアイデアは出たが、データの使用が可能かどうかの問題なども
あり最終的にはまだ不明。とりあえずは、やりのこしのほうを先にすすめることになる。
本格的な仕事は明日から。はてさてどこへどうやってたどり着くのでしょう。

帰りに大学のキャッシュディスペンサーで勧銀のカードが使えるかを確かめてみる。
画面の表示が英語であるため多少まごまごしたが、ちゃんとお金を下ろすことができた。
これでひと安心。おろしたところで、あんまり使わないのだけれど。

今日は、Emmaは実家に帰省で、Lisaは大学の新入生の歓迎パーティの仕事で不在。
Lisaは生協の役員のようなことをしているため、そのような仕事が時折舞い込むそうだ。
とにかく、夜はひとりぼっちで、家にいることになる。

ということで今日も、テレビ三昧。

7時30分から欧州チャンピオンズリーグのライブ中継がある。
昨日から楽しみにしていたものである。カードはリバプール対ディナモキエフ。
リバプールが強い。特に守備が堅牢きわまりなし。キエフは入りそうなシュートゼロ。
スコアは1対0でリバプール。欧州サッカーを存分に満喫。

サッカーの後は、アリーマイラブ(こちらでのタイトルはアリーマクヴィ−ル)を見る。
EmmaとLisaもアリーの大ファンらしく、ビデオを予約していった。
しかし、英語で見ると聞き取りがほとんどできないのと、
日本の吹き替えと声の質が違ったりして、今一つ楽しめず。
しかも新しい登場人物がやたらといて、こんがらがってしまう。
あんたたちは一体誰なんだという奴が数人いる。

余談ではあるが、忘れ物に気づいた。「地球の歩き方イギリス編」を忘れた。
なにか忘れ物があったら買えばよいと大きく構えていたのだが、
さすがに、「地球の歩き方イギリス編」はイギリスでは販売されていません。
旅行をしようにも地図もないし、なんの情報もないことになる。
洞窟を懐中電灯なしであるくようなものである。こまったこまった。

27/09/2001 (Thu)

今日は目覚ましをかけずに寝たので、9時前まで寝てしまいました。
Lisaは風邪気味で、家にいるということで今日はひとりでご登校。
今日は幾分寒いかもしれない。だんだん冬が近づいているのを感じる。

大学ではせっせとプロットをつくる。

我々の業界ではデータを表示した絵のことをプロットと一般に言う。
僕は、このプロットづくりが大好きである。誤解を恐れずに言うならば、
サイエンスそのものよりも楽しい。はっきり申し上げて。
こんなことを書くと、サイエンティストの風上にもおけない奴と思われるだろう。
しかし、小学校の頃から、算数や理科より図画工作の時間が好きだった。
めぐりめぐってサイエンティストの駈け出しのような身分になっているが、
生まれ持っての性分には抗えないらしい。
でも、サイエンスももちろんきちんとやっていますので、誤解のないように。

帰り際にインターネットを見ていたら、パリーグは近鉄が優勝したようだ。
別に近鉄の熱狂的なファンではないが、近鉄優勝は何故かうれしい。
なんで近鉄に良い印象を持っているのだろうか?
多分、仰木監督の時のチームの印象が残っているし(野茂とかいて楽しそうだった)、
今もその雰囲気をなんとなく受け継いでいるように感じるからだろう。

結局6時まで大学にいて、歩いて帰宅。
夕食は七面鳥の肉を炒めて、スパゲティと一緒に食べた。
この七面鳥の肉は、チキンだと思って買ったものだが、よく表示をみると七面鳥でした。
確かに、ニワトリよりも多少臭みがあるようだ。しかし、おいしく食べられた。

食事の後は、今日もテレビでサッカーを見る。
今日はUEFAカップで、イプスイッチ対モスクワなんたらかんたらの試合。
昨日のチャンピオンズリーグほどはレベルが高くないので緊張感はないが、
サッカーならなんでも面白いので大丈夫。
Lisaが、9時からもプレミアの試合がBBCで中継されることを教えてくれたので、
ついでにそれも見る。アストンビラ対なんたらかんたらの試合。
UEFAカップよりもこちらのほうがレベルは低いのだろうが、熱い試合で面白かった。

10時頃にEmmaが実家から戻ってくる。
Emmaがビデオにとったアリーマイラブを見るというので、つきあってもう一度見る。
新しい登場人物の解説をしてもらって、だいぶ状況が把握できてきた。
来週の放送はもっと楽しめるだろう。

28/09/2001 (Fri)

朝、目が覚めるとなんと9時40分。昨日目覚ましをかけるのを忘れたのだ。
急いで準備をして大学へ行く。いつもより少し遅いせいか、交通量がだいぶ少ない。
交通量が少ないと道路を横切るのが簡単で良い。寝坊も悪くない。

今日は、アイスランドでオーロラ観測をやっていた極地研の佐藤先生がレスターに来る。
佐藤先生がやっているアイスランドのオーロラ観測は、レスターのレーダーの視野の中で
行われているので、レスターのレーダーも同期して特別観測を行っていて、
佐藤先生がやった観測をSteveが解析するというシステムが確立されている。

午後に佐藤先生がレスターに到着し、自分も学内電話で呼び出される。
Lester教授と佐藤先生、Steveらでオーロラ観測とレーダーデータがつきあわされる。
自分はオーロラそれ自体に関してはまったくの素人であるため、詳しいことはわからないが、
レーダーと光学観測があまりによい一致をすることに驚いた。
この共同研究は電離圏E領域の話で、プラズマ不安定の話と繋がるものであるが、
とても面白そうに見える。

夜はLester教授と佐藤先生らでカレーを食べに行く。
パブでビールを飲んでから、インディアンレストランへ。ライスを食べるのは少し久しぶり。
しかし、インディアンライスなのでさしたる感慨はなし。もっともちもちした米が食べたいものだ。
佐藤先生は今日中にロンドンに帰るため、10時前に駅で見送る。
帰りはLester教授が家まで帰るタクシーに便乗させてもらう。
Lester教授曰く、最近はここらへんも物騒だから気をつけろとのこと。
Emmaも帰りはバスに乗ったほうがいいと言っていたし、
最近はレスターも何かと物騒らしい。気をつけないと。

29/09/2001 (Sat)

こちらに来て始めての週末である。10時くらいまで寝る。

朝食を食べながら、イタリアサッカーセリエAのダイジェストをテレビで見る。
フジテレビのセリエAダイジェストと同じで全試合の得点シーンを放送している。
中田の今季初ゴールも見ることができた。エクセレントゴール!!
土曜日朝のこの番組は外せない。毎週見なければ。

Emmaはランカスターというところに住んでいるボーイフレンドに会いに行くため不在。
ボーフレンドはアンドリューという名前で、Emmaたちがこの夏に京都に遊びに来た時に
一度会ったことがある。彼は、熊のような大男で、またEmmaもかなりの体躯であるため、
逆らうと食べられてしまうのではないかという不安がいつも付きまとう。

午前中は、洗濯機の使い方をLisaに教えてもらって挑戦してみる。
こちらの洗濯機は日本のものとかなり形が異なっており、乾燥機のような形状。
かかる時間は大体同じで、40分くらい。洗濯したあと乾燥機にかけてできあがり。
前回の滞在では、宿舎に洗濯の施設がなかったのですべて手洗いしなければならなかった。
それに比べると今回はなんと楽なことか。

昼過ぎに、日本に電話をかけてみる。
勧銀の口座から自動的に通話料が引き落としになるようなシステムの契約をしていたので、
それを使ってやってみる。カードのナンバーやらたくさんの番号を押さねばならず多少面倒。
しかし、口座から自動引き落としで、かつ割安ということなので、これがベストだと思う。
両親と友人に一本ずつかけてみる。両方携帯への電話であったが、非常にクリアに聞こえた。
しかし、あらたまって話すことなども無く、元気であることを伝えてすぐに通話を終える。

午後は、スーパーに生活用品を買いに行く。大学の近くのSafewayというスーパー。
この前Emmaに連れていってもらったASDAというスーパーに比べると割高ではあるらしいが、
家から近く、歩いても行けるのでLisaはこちらのほうを良く使うそうである。
ハミガキのブラシやペースト、リンスやシェービングフォームなどを購入。
歯ブラシは日本のものよりもかなり大型。口に入るか心配であるが、
日本から持ってきたものが旅行専用のものでどうも使い勝手が悪いのでしょうがない。
ついでに、ベーコンとマッシュルームを買う。

家に帰り、夕食の支度。今日はマッシュルームを食べようと思う。
ベーコン、ソーセージ、マッシュルームを炒めて食べる。
あまりにうまそうなので、写真をとってみた
こういうシンプルな食事をしている限り、イギリスの食材は非常に美味。
変な調理をするのでまずくなるのである。
しかし、あまりにアブラギッシュな内容ではある。
こちらの人が太い理由が少しずつわかってきた。

夕食を食べながら、今日のイングランドサッカープレミアリーグのダイジェストを見る。
マンチェスターユナイテッドが3点ビハインドをひっくり返す大逆転劇。
レスターは今日も負け。これで最下位に転落。激しくだめである。

毎日サッカーが見れるというこのシアワセ。
唯一の欠点はパープルサンガの試合が見れないことだけである。

30/09/2001 (Sun)

昨日に引き続いてお休み。激しく休み。

日本では土日祝日関係無く、仕事がしたければ大学に行くという生活をしているので、
土日をきっちりと休むこちらのスタイルになかなか慣れないでいる。
要は、大学に行きたくなってしまうということ。むしょうに研究がしたくなるのだ。
典型的なワーカホリックである。救いようがない。

がしかし。月曜日から金曜日まで9時‐5時で働いただけで、土日二日も休みが必要か?

今日は、レスターの街のほうへ行ってみようと思い、昼過ぎに家を出る。
時間もたっぷりあることであるし、歩いてみる。寒くはないが風がある。
正確に時間を計ったわけではないが、おそらく40分くらいは歩いたと思う。
レスターは人口30万人規模の小さな街なので、市街地もそんなに大きくない。
しかし、こじんまりとお店がまとまっているので、買い物は楽である。
本屋で暇つぶしの本と手帳を買い、雑貨屋で絵葉書を買う。
その他、靴屋にも立ち寄ったが、食指は動かず。あたりまえだ。

帰りにレスターで唯一のスターバックスにたちよる。
カプチーノ1.75ポンド。300円くらいだろうか。日本よりも少し安いか。
激しくまともなコーヒーである。今日は日曜日だからなのか、あまり混んでいない。
街にでたときは立ち寄ることにしたいと思う。
いつもインスタントばっかり飲んでいるのでそれくらいは許されると思う。

家に帰って、Emmaのビデオライブラリーからビデオを借りて鑑賞。
日曜日はテレビがあまり面白くないのだ。今日は、「Matrix」と「MI:2」。
どちらも映画館で見たことがある作品であるが、
字幕がないとやはり細かい部分が理解できないものである。

01/10/2001 (Mon)

今日は1週間の始まりであるとともに、10月の始まりでもある。
そんな今日は、風が強くとても寒い。ほとんど冬といっていい。

今週の木曜日に研究の進行状況についてLester教授と話をするので、
それまでにある程度作業をすすめておかないとと思い、エンジンをかける。
前にレスターでやったケーススタディに更にいろいろなデータを加えて深めようということである。
具体的には衛星のデータと地上磁場を加えることになると思う。
データの種類を増やすと概して、つじつまの合わないことが出てくるものであるが、
今のところは全てが調和的。あとは、論点をしっかり捕らえればなんとかなると思う。

6時前に帰宅。帰りも風が強く猛烈に寒かった。

家でテレビを見ていると川口がイギリスのクラブに移籍しそうであるとニュースが伝えられていた。
日本の選手が海外へどんどん出ているという情報も合わせて流されている。
今日、日刊スポーツのwebを見たら、柳沢ペルージャへという情報も出ていた。
このような情報だけを見たら日本サッカーはのぼり調子という感じに見えるだろうが、
実際コンスタントに試合にでているのは中田だけというのが厳しい現実ではないか。
やはり言葉の壁とかが大きかったりするのだろうか。それとも実力が足りないのだろうか。
しかし、今が正念場である。中田に続く活躍をする人間が一人でもでればまた状況は変わる。
サンフレッチェの藤本とか、海外に出してみると面白そうな気がするが、身びいきか。

02/10/2001 (Tue)

今日もなかなかにお寒いことである。
今は朝、大学まで歩いているが、じきにバスに切り替えそうな雰囲気。
いつまで歩けるだろうか。

いつも朝大学についたらまず京都にログインしてメールをチェックするのだが、
今日はm1にログインしたとたんに、ホームディレクトリが見つけられないというような動き。
ディスクが壊れたとしか考えられない。瞬時に去年の停電後の悪夢が頭をよぎる。
何故m1のホームのディスクはこうも壊れやすいのか。何か理由があるはずだ。

津川のホームページの日記を見てみると、やはりホームディレクトリのディスククラッシュであるらしい。
これは困った困った。といってもこちらからはどうすることもできず、回復を待つしかない。
というか、二穴がなんとかするのを待つのみである。たのむ天才管理者二穴。

しかし、こちらに来る前にメールをm1に全部持ってきて見るように設定して、自分のノートPCは、
電源を落としてきたのであるが、m1のメールが全部消えたとなるとノートPCからメールを
どうにかしてとってこないといけない。あれこれ考えたあげく、落ち着いたら
ノートPCのスイッチを入れてもらうように二穴にメールでお願い。今日は本当に二穴様様。

メールを回復させて、届いていて読めなかったメールをチェックすると、
矢島さんから近鉄バファローズ優勝の時のテレビ映像がmpegで送られてきている。
なにも考えずにSGIで再生したら、大きな音がコンピュータルームに響きびっくり。
慌ててボリュームを落として鑑賞。小さい音でも十分興奮が伝わってきた。
楽しみました矢島さん。ありがとうございました。

北川という選手がさよならホームランを打ったようであるが、
この選手はたしか阪神タイガースに居たはずである。そのころはぱっとしなかったような。
阪神を飛び出した選手が活躍するという法則(ほとんど公式とか公理に近い)はやはり成り立っている。

今日は、ディスククラッシュの件などもあって仕事があまり捗らなかったので、
6時30分くらいまで大学に残って、データと格闘する。だいたいまとまってきた。
論文の流れと解釈が今週の後半と来週の課題だろうか。急げ急げ。

今日の夕食はヤキソバを作ってみる。具はベーコンとにんじん。
ソースはソイソース。ソイソースはしょうゆとはだいぶ違う味。普通のソースに近いか。
麺は、チャイニーズエッグヌードルという怪しげなもの。
怪しげな食材ばかりを使った割にはできあがりはなかなかのものであった。
久しぶりの麺類ということで、二玉ほどたいらげた。このメニューはレパートリーに入る。

03/10/2001 (Wed)

今日は割と早くに目が覚める。天気は晴れ。
イギリスにいると、天気が良い日が少ないので、晴れていると少しうれしい。
日本にいると雨の日は別として、晴れか曇りかなんてほとんど気にしないのだが。

昨日のディスククラッシュ関係の後片付け(失われた設定ファイルの書きなおしなど)で午前中が潰れる。
重要なものはバックアップをとっていたが、さほど重要でないものはとっていなかった。
重要でないファイルでも回復するのは面倒なものである。

今回は、休憩の時間には紅茶を飲むことにしている。
紅茶のほうがだいぶ安いのと、コーヒーはあまり美味しくないという理由からである。
幾種類かの紅茶が飲めるので今までは順番に試していたが、だいぶ志向が固まってきた。
アッサムというのが濃くておいしい。ダージリンとかアールグレイとかいうのはどうも薄い。
色で区別できるくらい濃さが違う。

今日は、レスターのRadio and Space Physics Groupのこの先4年間のグラントの審査があるそうで、
審査官を前にしたプレゼンテーションが行われるようである。全体的にすこしピリピリムードである。

このグループはHeadのStan Cowleyが超大物なんだそうで、そのネームバリューもあって、
お金には不自由しないそうである。グループの誰もが、「うちらイギリス最強だから金はある」
といったような言葉を平気で言う。この自信というか自負はすごいものだ。普通は思ってても言わない。

京都大学でもこれまでの大学院生活でグループにお金がないという意識を持ったことはない。
これは荒木先生以下の先生方が有能であるからで、まったくもってありがたい話である。
本当に自分は幸運であるということを改めて感じる。

今日の夕食はライスを食べてみる。Emmaの米をもらってとりあえず茹でてみた。
いつもは炊飯器というブラックボックスで米を調理しているためどうすればよいかわからないのだ。
茹でていると、米というものは随分と水を吸うものらしく、水がすぐになくなる。これは驚き。
なんどか水を足しながら20分ほど茹でているとご飯らしくなってきた。
思ったよりもましなできである。ベーコンとご飯が今日の夕食。これを和洋折衷という。

10時からアリーマイラブをEmmaと見る。今日も英語があまり聞き取れなかった。
大体の筋はわかるのだが、細かい笑いどころでこまめに笑えないのが少し残念。

04/10/2001 (Thu)

この日記は毎日更新することを目標にやっています。
前回の滞在では、夜の時間がとにかく暇だったので日記をかならず書いていましたが、
今回は夜にテレビを見たり忙しい(?)ため毎日更新するかどうかはわかりません。
日記の更新がないからといってくれぐれも心配しないように細川家の直毅さん芳子さん。

今日は朝食を取るのが面倒で食べずに大学に行く。
どうせ、すぐに朝のコーヒー休憩で飲んだり食ったりするんだし、朝食を食べる必要は必ずしもない。
昼食は前回と同じように、サンドイッチしか選択肢はない。
すでに飽きつつあるが、他の選択肢がない以上、しょうがないことである。

午後からケーススタディの解釈を考える。

レスターでは南北半球でのレーダーデータの相違というものを主に研究しているが、
相違点の”相”のほうはサイエンスとしてあまり面白くない。一般に。
やはり南北半球でなにかが”異”なっていてくれないと議論が盛り上がらないのだ。
しかし、今やっているイベントでは南北半球で激しく調和的な結果が得られてしまっている。
細かい違いは当然あるのだが、細かいだけに議論するのが大変難しい。
ここをクリアすれば面白い論文になるのだが。後もう一息だと思う。

今日は5時30分で仕事を終え、家路につく。この帰り道の風景にもだいぶ慣れてきた。
この時間はまだ十分に明るいため、寒くない限り楽しい家路である。歩け歩け。

夕食はスパゲティ。マッシュルームとベーコン、にんじんを入れてみる。
味付けに問題があったようで、今一つのできである。激しく塩からい。
自炊をしていてつらいのは、まずいものを作ってしまった時、
文句をぶつける対象が自分になってしまうという点。責任転嫁できない。
調味料がどのくらい辛いのかなどがあまり把握できていないので、このようなことになるのだ。
今回の失敗から間合いを学ばねば。

05/10/2001 (Fri)

今日は金曜日なので、group talkと呼ばれるセミナーがある。新学期になって一回目だそうだ。
毎年、年度始めのセミナーは教授たちによって今年度の目標、行動計画が話されるようである。
京都でも年度始めの談話会では研究計画を各自が話すので、このような習慣は万国共通である。

セミナーは4時から。全員が集まるのでmeeting roomは人でいっぱい。25人くらいはいると思う。
最初にheadのStan Cowleyがお金の話と昨年度の業績の話をする。
今年のグループ全体のincomeは150万ポンドということで途轍もない金額である。
大体2億5000万円くらい? レーダーを建設したりしているので当たり前なのかもしれないが、
この金額には驚いた。ここは企業ですか?

昨年度の業績は、投稿論文51本ということ。研究者が大体20人弱いるので、
一人当たり2本程度は書いていることになる。これもまたすごい話ではある。
しかし、ポスドクが7人くらいいるのでこれぐらいは書いていてもおかしくはない。
ハングリーなポスドクをたくさん抱えているとグループの研究業績は当然上がるだろう。

セミナーの後は、パブへ行く。年度始めということでほぼ全員が参加。
すっきっ腹でビールばっかり飲むので、4杯くらいで限界が訪れる。
なんにも食べずにビールばっかり飲めるわけがない。はっきり言って腹が減る。
5時過ぎから11時30分くらいまでえんえんとビールばっかりを飲む。
12時前に、家に帰ってベーコンサンドを作り、テレビを見ながら食べる。

テレビでは、ちょうどポールウエラーのアコースティックライブというのをやっていた。
随分歳をとったなという印象。ちょっと太ったような気もする。
しかし、テクニックのなさを迫力で誤魔化すような独特のスタイルは健在。
途中でノエルギャラガーがゲストギタリストで出て来たりして、ついつい最後まで見てしまう。
テレビを見て、お腹もいっぱいになって、満足して就寝。

06/10/2001 (Sat)

こちらに来て2度目の週末である。

10時からのセリエAダイジェストに合わせて起床。
朝昼兼用のスパゲティを食いながら中田の試合をチェックする。
怪我の具合が良くないようで途中で交代したようであるが、
ダイジェストで見る限りプレーはだいぶ良くなっているようである。
パルマ自体も攻撃の形ができつつあるように見えた。

Emmaは午前中いっぱい、家のドアの色を塗るという作業をしている。
イギリス人はDIY(Do It Yourself)が好きなんだそうで、
家のどこかしこを自分で勝手に作りかえる。
貸し家でも自由にいろいろ作りかえることが許されているようだ。
許しを得て、DIYの現場の写真を取って見た。(ドアを塗るEmma)
なんでも自分たちで作り変えたりするのはさどや楽しいでしょう。

今日は、ワールドカップ欧州予選でイギリスの属するグループの最終ラウンドがある。
対ギリシア戦。場所はマンチェスターのオールドトラフォード。
マンUのホームスタジアムである。前の滞在の時に行ったことがある場所。
この試合に勝てば、2位ドイツの動向に関係なく出場が決まる。
テレビでも朝からこの話題が繰り返し扱われている。
テレビ中継が13時からあったので、洗濯やらを早めに片付けて、Emmaとテレビ観戦。

Emmaはサッカーのことはあんまり知らないようで、「ギリシアのキーパーが映画俳優の
ジョージクルーニーに似ている」とかいっては笑っている。緊迫感がない。
はっきりいって邪魔です。もっと集中してください。自国の代表が試合をしているんですよ。
自分の国の代表が試合をしているときはもっと集中して念を送らないと。

Emmaが集中しないためか、イングランドは前半からかなり調子が悪い。
このチームはベッカムとかオーウエンとかが目立つように見えるが、
実際は中盤の底のスコールズとジェラードがキモだと思う。
彼らの調子の良し悪しでチームの出来のほとんどが決まってしまうと思う。
彼らがどれだけ気の効いた展開をするかで、
ベッカムとかオーウエンといった飛び道具の当たり具合も決まってくる。

その二人が今日は最悪の出来。当然入りそうなシュートもほとんどない。
逆にギリシアが素晴らしく、先制点もギリシア。はっきりいってギリシアの方が強い。

後半に入ってイングランドが攻勢に出るも、やはりジェラードとスコールズが酷い。
特に、ジェラードがだめだった。プレッシャーに弱いタイプなのだろうか。
一度シェリンガムのゴールで追いついたが、またギリシアに点を入れられる。
この時のスタジアムの光景は、ジョホールバルでダエイにヘディングシュートを
決められた時の感じに近かった。あまりに悲しくて声もでないという感じ。
ロスタイムに入っても依然としてリードを許したまま。
ドイツがフィンランドと引き分けているため、
このまま負けるとプレーオフにまわらなければならない。

もうあきらめかけた頃、ベッカムのフリーキックが劇的に決まる。
まさにドラマチックな引き分け。ロスタイムも残り1分くらいだったと思う。
得失点差でドイツを上回りワールドカップ出場決定。

イングランドの皆さん本当におめでとうございます。日本で会いましょう。
といっても僕はワールドカップチケット争奪戦には敗北したのでスタジアムには行けませんが。

今週の土曜日はこのサッカーの試合があったのでどこへも出かけなかったが、
来週の土曜日はできればロンドンに行きたいと思っている。
日本食の食材を少し買いたいことでもあるし。

07/10/2001 (Sun)

イギリスでは、日曜日は伝統的になんにもしないんだそうである。
家で、テレビを見たり、洗濯をしたり、ピアノを弾いたりするんだそうです。
しかし、テレビも面白くないし、洗濯は昨日してしまったし、まさかのピアノ演奏もありえず、
先週の日曜日に引き続いて一人でぶらりとレスターの街に出る。ぶらりと。

先週からずっとそうであるが、とにかく風が強い。
イギリスの10月というものはいつも風が強いんだそうだ。雲がとても速く流れていく。
特に寒いというわけではないが、風があるので快適度は高くない。
今日は今まで通ったことのない道を通って街まで行ってみる。
いつもは大学の近くを通っているのだが、今日はそれとは逆のほうから行くことになる。

レスターのHMVでビデオのセールが行われていたので立ち寄る。
いろいろなビデオがジャンルごとに分けられて格安(4ポンド、700円くらい?)で売られている。
Emmaの家にビデオがいっぱいあるのは、ビデオが一般に安いという事情があるのかも知れない。
ビデオがこれくらい安いとレンタルするより買ったほうがお得である。

面白かったのは、「MANGA」というジャンル分けがあって、日本のアニメが置かれていたこと。
「CITY HUNTER」全5巻とかが平気で売られている。
「CITY HUNTER」のビデオを手にとってしげしげと眺めているイギリス人の子供(推定8歳)がいて、
思わず背後から、「買え買え」という念を送ってしまった。
しかし、残念ながらイギリス人の子供(推定8歳)は「CITY HUNTER」を購入せず。
とんだ意気地なしである。

それはさておき、自分は、「ショーシャンクの空に」が4ポンドで売られていたので購入。
家に帰って、早速鑑賞。「ショーシャンク」の英語はかなり聞き取りづらいものであった。
アメリカ大統領の英語とかのようにクリアに発音してくれるとある程度言っていることは分かるが、
ドラマなどの英語はほとんどだめである。
ワンセンテンスでひとつも単語が拾えないということもしばしば。

こちらに来てから、英語のリスニングの力が少しでもあがらないものかと思って、
意識してテレビやらビデオやらを見ているが、これまでのところ何の成長もございません。
英語に関しては、大前提としてほとんどあきらめてはいるのだが、まわりの人が
喋ることを少しでも多く理解することができればそれだけ楽に生活できるので、
とりあえず頑張ってみようと思っている。まあ結局のところほとんどわからないんだけどね。

「ショーシャンク」を見終えてテレビに戻ってみると、ニュース速報が流れており、
アフガンへの攻撃が始まったことを伝えていた。空爆が始まったのだ。
イギリス軍も参加しているようで、全チャンネルでニュース速報が流れた。

ついに始まったかという感じ。イギリスにいる限り特に危険はないのだが、
なんとなく嫌な感じである。しかし、Lisaと話をするとあまり驚いた風でもない。
「まだ空爆でしょ」といった感じ。空爆の映像だけではどうも戦争が始まったという
気分にはならないらしい。戦争という行為に対する距離感の違いを少し感じる。
イギリスは80年代はフォークランド紛争をしていたし、90年代は湾岸戦争に参加したし、
10年に一度は戦争が起こるもんであるというような気分があるのかもしれない。

08/10/2001 (Mon)

今日は朝からあいにくの天気。こちらにきてはじめて傘をさす。
この傘はAGUでサンフランシスコに行った時、急に雨に降られて買ったものである。
傘などというものはたいてい長持ちしないものであるが、この傘は珍しく長く使っている。
柄の部分がだいぶバカになってきつつあるので、この旅が最後の活躍の場となるだろう。

週も変わったことであるし、2つめのテーマに手をつけることにする。
南北半球でレーダーエコーのスペクトル幅がどのような相違を見せるかの統計解析続編。
このテーマはケーススタディ、統計解析の双方から責めているものだが、
第一段階の統計解析とケーススタディがほぼ形になったので、第二段階に入る。
といっても、やることは結果がある程度予想できるもので、あまり科学的な興奮はない。
しかし、やっておかなければならないことではあるので、さくさくと終わらせようと思っている。
家森先生だったら、「やらんでもええんちゃう」とか「どっちでもええんちゃう」とか言いそうである。

津川のひとりごとページでみやげに「Leon」か「AKIRA」のビデオを買ってくるよう依頼を受けたが、
イギリスのビデオは、日本のビデオデッキでは再生できないそうである。
DVDソフトとかプレステのソフトなんかもイギリスと日本は互換性が悪いらしい。
ということで、津川には「CITY HUNTER」超豪華5巻セット(再生不可能)を買って帰ろうと思う。

今日は、帰りにSafewayに立ち寄る。大学から100メートルくらいのところの大規模スーパー。
買っていた野菜をほとんど食べ尽くしたため、新しく仕入れるためである。
さやえんどう、ブロッコリー、カリフラワー、にんじん、マッシュルームなどを買う。
やきそばの麺を探してうろうろしていると偶然にもの凄いものを発見。

「Kikkomann Soy Sauce」

即座にカゴに放り込む。ついにやってしまった。悪魔に魂を売ってしまった。
ふりかけたものをなんでも日本食にしてしまう魔法の調味料を手にしてしまったのである。

この前買ったSoy Sauceはどうも本当の醤油と異なる奇妙な味であったのだが、
この「Kikkomann Soy Sauce」は容器からして、我々が日本で使っているものとおんなじ。
家に帰って、「Kikkomann Soy Sauce」を使ってヤキソバを作ってみる。グレート。
これで、前に買ったニセモノSoy Sauceを見事クビにすることができた。クビだぁクビだぁ。

BBCニュースを見ているとアフガンへの第二次の爆撃が行われたようである。
「much heavier than yesterday」ということでかなりの規模でやったようである。
トニーブレアが議会で喋っている場面が映るが、要は「我々は徹底的にやるんです」ということ。
この報復の攻撃に対する報復(裏の裏みたいであるが)がどこかで起こらないことを、
そして、自分が巻き込まれないことを望みたい。

09/10/2001 (Tue)

今日は少し朝寝坊してしまう。起きたら9時であった。
こちらに来てから寝付きが異常に良かったのだが、
昨日は夜にコーヒーを飲んだせいかどうも寝付きが悪かった。

大学では、論文を書くという作業を始めているのだが、どうもだめである。
論文を書くというのは本当にしんどい作業で、なかなかはかどらない。
そのくせ、すぐに休憩をしたくなる有り様。ハイコストローパフォーマンス。

今回はこちらの計算機に英和辞典がないので、さらにはかどらない。
いつもはなんか良い言いまわしはないものかとオンライン辞書を使うことが多いのだが、
それができないと自力では言いまわしが浮かんでこない。
今までどれだけ自分の論文執筆が英和辞典に依存していたかを思い知る。

まだ自分なんぞはペーペーなので論文の書き方もあまり固まっていないからしょうがないことだが。
毎回手探りでやっているのだけれど、いつかは決まった型ができるのだろうか。
そして、流れ作業のようにスイスイ書ける日がくるのだろうか?

帰りがけにインターネットを見ると、マリノス川口のイングランドへの移籍が本決まり
になったような文章が書いてある。プレミアシップではなく、一部リーグ(実質2部)らしいが、
また日本人プレーヤーが一人増えるのか。川口よ、イギリスは寒いぞ。
そして雨がよく降るぞ。そしてビールがぬるいぞ。そして英語わかんねえぞ。

夕食は、またご飯を炊いてみた。この前炊いた時に大体の感じは掴んでいたので、
今回はだいぶ楽であった。相当水を多めに入れてちょうどよい感じになる。
ご飯と野菜炒めを食べる。なかなか充実した夕食である。

10/10/2001 (Wed)

昨日はどうも事件というか出来事がなくて日記も貧相になってしまったが、今日は盛りだくさんである。

大学に行って、メールをチェックすると友人のMNKからメールが来ている。
なにげなく読んでいたら、突然、「俺の結婚が急遽決定した」という文が現われる。びっくりである。
MNKは我々のサッカーサークル不動の左サイドバックで、かつ音楽活動も一緒にやっている
友人である。アーリークロスと作詞作曲に長けた男である。ちなみに鼻がとても高い。

サッカーサークルの同年代で、初の既婚者誕生である。SMAPでいうならキムタク。
しかし、結婚式というものはどう参加してよいものやら全然わからない。
なにかみやげのようなものは要るのだろうか。お金をわたすのだっけか?
結婚式に詳しい人に伺いを立てなければならない。

金曜日にLester教授と研究の進行状況について話をするので、
それまでに今までやったことをまとめようと今日はちょっと頑張ってみた。
一昨日から始めたスペクトル幅の季節依存性共役点解析というのの初期結果がでてきつつあるが、
どれもあまりクリアには現われていない。表示のしかたが悪いのだろうか。
明日は、なんとか惑星間空間磁場の依存性を終わらせるところまでいきたいが、間に合うか?

帰り際に矢島さんが送ってくれたローズの55号ホームランの映像を見る。
アメリカの斎藤さんと自分用にホームページからダウンロードするようにメールをくれたのだ。

その名も "55.mpg"

あまりに豪快すぎるネーミングである。画像そのものももちろんすごいものであったが、
このネーミングのインパクトが凄かったです。矢島さんありがとうございました。

家に帰って飯を食った後、EmmaとLisaとASDAに買い物に行く。
始めて買い出しに行ってからもう2週間以上たっているので冷蔵庫もカラカラである。
EmmaとLisaは非常に時間をかけて商品を選ぶため、自分もゆっくりと商品を吟味できた。
一人で買い物をするとどうしてもちゃっちゃと終わってしまうことが多いのだが、
誰かと行くとゆっくり商品を見る余裕ができる。これは良い点である。

ベーコンを4種類購入。SmokedというのとNonsmokedというのがある。
また、背中の肉とそうでない肉という分け方もあるようである。食べ比べをしようと思う。
野菜もがっつり買った。ここは野菜が安い。しかし種類はあまりない。花野菜が多い。
マッシュルームも外せない。今日もひとパック御購入。

ビールも買ってみた。ギネスビール。330ミリリットルのビン4本で4ポンド。700円くらい。
どの種類もだいたいそんな感じの値段である。缶はどうも一本の分量が多いので辞めておいた。
その他パンや卵、ジュースなど死ぬほど買って、28ポンド。5000円くらいであった。
これでまた次の2週間の夕食をまかなう訳である。

帰るともう8時。今日はサッカーのチャンピオンズリーグの中継があるのだ。
完全に忘れていた。マンチェスターユナイテッドがアウエイでオリンピアコスと戦う。
イングランド対ギリシアということで、先週のワールドカップ予選とどこかだぶる。
今日はベロンが超がつくほど絶好調。すごい。リラックスしてすごいプレーをする。
あれだけ自由になんでもできればプレーするのも楽しいだろうな。

10時からはアリーマクヴィール。今日はだいぶ英語を理解することができた。
まあ多少は耳が慣れたということであろう。アリーの英語は比較的聞き取りやすい。
イギリス国内のドラマの英語は依然としてほとんど分かりません。

今日は、結婚やら研究やら55.mpgやら買い物やらサッカーやらアリーやらで
盛りだくさんの一日であった。正直疲れました。明日は平穏な一日でありますように。

11/10/2001 (Thu)

昨日はなんやらかんやらで盛りだくさんの一日であったが、今日は至って平穏な一日だった。

まず天気がとても良く、非常に暖かかったのがすばらしい。
空は快晴で気温もTシャツ一枚の人を至る所で見かけるほど。
こんな天気がずっと続いてくれるとありがたいんですけど。

明日、Lester教授と話をするということもあって、今日はかなり集中して頑張った。
おかげで明日話すことがいっぱいできました。できれば今週中に統計をまとめたいなと思う。
明日どれだけできるかが鍵である。明日も頑張ろう。

木曜日は、こちらで大人気のドラマ「Burfy the Vumpaire」というものが放送される。
EmmaもLisaもこのBurfyとやらの大ファンで毎週絶叫しながら見ている。
内容は、Burfyという女の子が吸血鬼と戦うというシンプルなものである(詳しくはわからんが)。
しかし、大学院生それもD3とかなって吸血鬼でもないだろうと思わなくもない。
もうちょっと他に何かないのか、大河ドラマとか、プロジェクトXのような教養の香りがする番組は。
Emmaが「一度バンパイアの血をなめるとバンパイアになっちゃうんだよ」などと
バンパイア関係のルールをいちいち教えてくれるのだが、
「バンパイアになっちゃうんだよ」とか言われてもねえ。僕もう26歳なんですけど。
しかし、本屋などにもたくさんのBurfy関係の書籍、CD、ビデオなどがあって、
このBurfy人気はイングランド全土に波及しているものと思われる。大丈夫かイングランド。

バンパイアの騒ぎが終わった後、BBCのニュースを見ていて、
ニュース英語はだいぶ理解できるようになってきたという感触を得る。
ニュースは映像で話の内容がある程度予想できる(いまだったらまずテロ関係)ため、
英語も先入観を持って聞くことができるから、そんなふうに感じるんだと思う。
アリーにしても、登場人物やその行動特性をある程度知っているために、
英語も理解しやすいのだと思う。英語ができるようになるには、
英語そのものの聞き取りも重要だがその背景となる事象についてどの程度の
知識を持っていられるかということも大切なんだと思われる。

あと、英語を聞いていて感じるのは、単語の聞き取りはできるけれど、
文が長すぎてその単語を文章として理解する処理が追いつかないことがままあるということ。
自分の中での英語の処理速度(内容を理解する部分)をインプットの速度が上回ってしまうのである。
こうなると聞き取りは出来ているのに(各単語は拾えているのに)、内容が分からないということになる。
これは非常に悔しいことである。単語を拾う力はやみくもに英語を聞いていれば上がりそうだが、
理解のほうの処理速度を上げるにはどうすればよいのだろう。駿台予備校にでも行けばいいのか?

今週の土曜日はロンドンに行く予定。特に目的もないのだが、
できるだけ朝早く出て、昼前にはロンドンについていたいと思う。
しかし、地球の歩き方を持ってくるのを思いっきり忘れたので、
ロンドンの地下鉄の路線図すら手元にない。
どこへどうやって行くのか全く予想だにできない。

12/10/2001 (Fri)

今日はちょっとばかりショッキングなニュースで一日の幕が明けた。

ノートパソコンがネットワークに繋げなくなったのである。
最初はいつも繋げているHUBがおかしいのかと思って、
グループ内のいろんなHUBで試してみたが、全部だめ。
なんらかの理由で内蔵のLANの口がつかえなくなっているものと思われる。

ノートパソコンがネットワークに繋げないと何が大変かというと、
日本語の読み書きができないということが大変なのである。
これはほとんど致命的で、日記もアップデートできないし、日本との連絡も取れない。

ということで、関係のありそうな人には、ローマ字で日本語が使えない旨を連絡。
日記もとりあえずは更新ストップとなってしまった。昨日の日記が秀逸だっただけに残念。
今までがあまりにも順調だったのでなんらかのトラブルがあるんではないかと
思っていたところの出来事だった。まあしょうがない。さらに英語漬けの環境での生活となる。

午後からLester教授と研究のディスカッション。
ケーススタディの図を仕上げて論文を書きつつあるということと、
新しく始めた統計のことを話す。論文をなんとか来週のうちに書き上げられないかということ
言われる。これは前に投稿した論文のReviseがそろそろであることを考えてのことらしい。
できなくはないが、なかなか大変なスケジュールではある。なんとかやってみよう。

今日は、夜はKatharynの誕生日ということでまたまたパブに行く。
Lisaは週末はサウスハンプトンに小旅行ということで不在。
帰りはEmmaと帰る。Emmaも明日からランカスターへ行く予定。
自分も明日はロンドンへ行くので行きがけに駅まで車で送ってもらうことになった。

ロンドンに行くということを日本の友人にメールしたところ、
ロンドンでも報復テロがありそうだから気をつけろという返事がきた。そうなんですか?
なるべくアメリカ大使館(どこにあるかは知らんが)には近づかないようにしたほうがよさそうだ。
明日は朝早いので、更新されることのない日記を書いて、11時頃には就寝。

13/10/2001 (Sat)

今日はロンドンに出かけるので、7時30分起床。ちょっと眠い。
8時30分にEmmaに車で駅まで乗せていってもらう。Emmaはそのままランカスターへ。
9時の電車に乗ろうと思っていたが、電車が20分の遅延。全くありえない話である。
なんで遅れるのか? 電車なんてただ線路の上を走らせるだけだろう。
暁の超特急新幹線を見習って欲しい。あんなに速いのに全然遅れないぞ。

11時にロンドンに住む友人Mとピカデリーサーカスで待ち合わせをしていたのだが、
電車の遅れの為に15分遅刻。非常に申し訳ないことをした。
前回の滞在の時にロンドンの主たる観光施設はすでに一通り見たので、
今日はちょっと変わった(?)ところに行くことにする。

まずは、Mがハロッズの隣にユニクロができたのだが、一度も行ったことがないというので、行ってみる。

ユニクロ大繁盛。

日本のユニクロ以上に混雑。ロンドンっ子たちにもユニクロは好評らしい。
商品は全く同じであるが、値段は日本のユニクロより少し高めか?
ロンドンはファッションの中心地のひとつであるとは思うが、
実際ロンドンの人達は(というかイギリスの人達は)けっこう適当な服を着ている。
そんな事情もユニクロには追い風かもしれない。

ハロッズのあるナイツブリッジという場所からさらに西の方へ歩いていくと、
そこはサウスケンジントンとかチェルシーとか呼ばれているエリアで、いわゆる高級住宅街である。
そこに、自然史博物館というものがあって、結構面白いらしいので、行ってみる。

大英博物館に行った時も思ったが、イギリス人はとにかくいろいろ集めるのが好きである。
恐竜の化石から宝石までさまざまなものが展示されている。宝石が非常に美しい。
その他にも、自然一般(火山、地震、惑星など)についての展示がかなりの規模で展開されている。

面白かったのは、阪神大震災の揺れを実際に体験できるという施設があったこと。
ブースのなかにはいってしばらくすると激しい横揺れが始まって、立っているのも大変。
大学一回生の時の地震を思い出す。あの時は朝、地震で起こされて慌てて実家に電話をした。
そんなことをここロンドンで思い出した。変な話である。

この自然史博物館はかなりの広さで、全部見てまわるのに2時間はゆうにかかった。
この近辺はこの博物館の他にも、コンランショップという有名な家具のお店や
高級洋服店がぱらぱらと存在している。コンランは日本でも非常に有名であるが、
このロンドンのお店にはとても面白い商品がいっぱいあった。家具や文具、生活用品を
売っているのであるが、誰でも欲しくなるような商品ばかり。
ここはさすがにちょっとだけ辺鄙なところにあるので日本人観光客はゼロ。
帰る前にもう一度来て、何かガツンと買いたいという思いにとらわれる。

歩き回ってお腹が減ったので、中華街へいって飲茶を食う。
ロンドンはなかなか手軽に入れるレストランがなく、どうしてもファーストフードか中華になってしまう。
きちんとしたレストランはやはりそれ相応のお金も取られてしまうし、どうしても足が遠のく。
今まで海外の中華街の料理に関してはあまり良い印象がなかったのであるが、
今回入ったお店はかなり美味しかった。海老やイカもふんだんに入っていたが、
美味しく食べられた。ひょっとして魚介類を克服したのか?

お腹を満たした後は、コベントガーデン近辺をぶらぶら。
Mも自分もかなりの靴キチであるので、靴屋を中心にかたっぱしから店に入る。
あらゆる靴を見ては、このデザインがああだこうだとくっちゃべる大迷惑な客である。
カンペールのデザートブーツでかなりかっこいいのがあったが、
まだ時期尚早ということで今回は買わず。もう一度帰る前に来れたら買いたい。
しかし、ロンドンでの靴の価格体系を知ってしまうと日本で靴を買うのが本当にバカらしくなる。
だいたいは半額くらいで買える。Mの話ではスペインではさらに半分くらいの値段で売っているらしい。

そうこうしているうちに、6時前になったので、スターバックスで茶を飲んで解散。
茶を飲んでいるときに、Mに英語の上達方法を聞いてみる。何事も先達に教えを乞うべきである。
一番いいのは、ラジオのニュースを聞きながら後に続いて復唱することだそうだ。
それと、やっぱり、英語を日本語に直すというプロセスをなくさなければならないのは基本らしい。
頭を日本語用と英語用に完全に2分化してやらなければならんそうです。むずかしいな。

7時の電車に乗ってレスターに帰る。
今日はEmmaもLisaも不在であるため、ひとりの夕食。
ちゃんと作るのが面倒だったのでベーコンとポテトとビールというジャンキーディナー。
たまにはこんな日があっても良いでしょう。

ロンドンで日本食の食材を買ってくるのを完全に忘れてしまった。
靴を見ることに気を取られすぎ。バカである。

14/10/2001 (Sun)

今日はLester教授夫妻と昼飯を食べに行く約束をしている。
昼過ぎに家まで迎えに来てくれるということなので、昼までに洗濯を済ませておく。
洗濯は1週間分を週末にやるので、2度洗濯機を回さなければならない。
乾燥機はパワーが強くて比較的はやく終わるのだが、洗濯機が遅い。一時間くらいかかる。

12時30分きっかりにLester教授夫妻が車で迎えに来てくれる。
レスター郊外のレストランへ行くということである。
イギリスの田舎の風景は電車から見たことがあるだけだったので、
実際に踏みこんでみるのはこれが初めてということになる。

30分ほど車を走らせて、いくつかの集落を過ぎたところに目指すレストランがあった。
イギリス料理のレストランなどというものも初体験である。
料理はローストビーフとヨークシャープディングを選択。
ローストビーフはイギリスの伝統料理ということで非常においしい。やわらかい。
ヨークシャープディングというのもイギリスの伝統的な料理のひとつであるらしい。
マフィンの親分のような食べ物。味はあまりついていない。
昼間っからまたビールを飲ませてもらって上機嫌。
ただしデザートのアップルパイはボリュームがありすぎて少し残してしまう。

Lester教授の奥さんがとても良い人であった。高校の生物の先生。
とても話好きな人で、いろいろなことを質問された。
昨日は日本語を喋りまくりで、今日は英語を喋りまくり、頭は混乱の極みである。
Lester教授とは大学時代に学生結婚したそうである。
極地研の佐藤先生も学生結婚であるから、南北半球の共役性が良いということになる。

食事の後は、やはりレスター郊外にある、Foxtone運河というものを見に連れていってくれる。
ビクトリア時代は運河を用いた輸送がかなり盛んに行われていたそうで、
その運河が今も観光用として維持保存されているようである。
今日訪れた運河はジャンクションの機能を備えた運河で、
水位の異なる別の運河と水門を介して接続するようなシステムがついている。
実際に、船がジャンクションに入り、水位をだんだんと変化させて別の運河へ持っていく
デモンストレーションが行われていた。

イギリスの郊外の風景は、だだっ広い牧草地に草を食べるウシ、ウマ、ヒツジがいるというもの。
どこにでも牧草が生えるというのは非常にうらやましい。湿度が高いせいだと思う。
グランドは全て芝生であるしな。日本だったらすぐに草が枯れてしまうであろう。

一度Lester教授の家によってコーヒーをごちそうになってから帰宅。
EmmaもLisaもまだ帰っていなかったので、スパゲティーを作って食べる。
10時ごろにEmmaとLisaが相次いで帰宅し、2日ぶりの全員集合。
明日からまた大学である。がんばりましょう。

15/10/2001 (Mon)

朝大学でパソコンの接続を試みてみる。
すると、金曜日は何度やってもだめだったのが、今日は一度ですんなり通る。
どうやら金曜日はDHCPのサービスがなんらかの理由で使えなかったらしい。
メールも日本語で読み書きでき、日記の更新もすることができた。
内蔵LANに問題があると思っていたけれど、そうではなかったようである。
慌ててLANカードなんぞを買わなくてよかった。

ネットワークには繋がったが、京都のm1のメールがなんかおかしい。
sendmailが動いていないような雰囲気。この前のdisk crashでm5にホームが移ったので、
だれも気づかないのかな。それとも自分の設定がなんかおかしくなったのかな?
いちいち二穴の手を汚すのも申し訳ないので、step1kuでメールを読むことにする。
どうも今回は、計算機関連でトラブルが多い。disk crashやパソコン接続できない事件、
そして今回のメール読めない事件。3度あることは4度ある。次は何ですか?

今週は、フランスであるクラスターIIの会議に行っている人が数人いて、
グループ内の人数がこころなしか少ない。Ann.Geophys.のクラスターII特集号はもう出たのかな?
クラスターIIの登場でスペースフィジクスはどのような進歩があるのであろう。
その効能が分かりやすい形で世に出ているとは言えない。
アイデアとプロジェクトの進行は素晴らしいが、解析をする人手が足りていないようにも見える。
これはデータの特性上、データが一般公開されていないということに起因するのだろう。
IMAGE衛星が非常に理解しやすいのとは対照的。アメリカのヨーロッパの違いなのか?

静かな研究室で、午前中は、論文執筆用の資料収集。
サブストームもしくはサブストームにともなうオーロラ活動の南北半球非対称性に関する
論文を集めようとする。一見たくさんの人がやっていそうだが、検索をしてみると思ったより少ない。
南北両半球での共役性を解析するのは、やってみると分かるが割と面倒くさい。
マッピングやらのテクニカルな問題から、何を議論するかというあたりの精神的なことまで
いろいろとややこしいような気がする。逆に考えるとそれだけまだ未開拓ではあるのだろう。
リストアップした論文をダウンロードしたりコピーしたりする。昔のPSSが置いていないのが痛い。
たまに重要な論文がPSSとかCOSPARの雑誌とかに載ったりすることがあり、非常に迷惑。

午後からは、論文を書こうと頑張ってみる。なんとか今週の内にドラフトをあげたい。
6時頃までくちゃくちゃと英語をコネクリマワス。本当にコネクリマワスという表現がぴったりである。

大学を出ると夕焼けが美しい。もうだいぶ日が短くなってきていて、
6時過ぎにはかなり暗くなってしまう。これから暗い冬がやってくるのだ。

今日の夕食は得意のやきそばらしきもの。相変わらずの麺類過多である。
ブロッコリーとベーコン、にんじんを具にして、エッグヌードルという怪しい麺を茹でる。
仕上げにキッコーマン醤油を振り掛けてできあがり。キーはキッコーマンである。
今日は全体的に茹ですぎ(野菜も麺も)の感があり、あまり美味しくなかった。
自分は麺は固めがすきなので、5分ゆでろと書いてあるところを3分くらいで引き上げているのだが、
それでもまだ茹ですぎに感じる。2分くらいでも大丈夫なのかもしれない。

今日は対した内容もないのに書きすぎてしまった。実はテレビが面白くなくて暇だったのです。

16/10/2001 (Tue)

今日は冬が来たような寒さであった。天気も悪い。典型的なイギリスの天候か?
朝歩くのもだんだん寒くなってきた。そろそろバス通学に切り替えようかな。

今日も朝からせっせと論文を書く。今週中にある程度まで形にしたいので急いでいる。
Observationは何とか形になってきた。Discussionをどれくらい書けるかが問題である。
昔はDiscussionが書けなくて書けなくて困っていたが、最近は幾分ましになっては来ている。
Observationである程度みんなが知っていることは議論してしまって、
論文で言いたいことだけをDiscussionに書くようにしている。別に長々と書く必要はない。

昨日、京都のマシンのメール機能がおかしかったのだが、shinyの日記を見て、
プロセス過多による負荷がかかってsendmailが止まっていたことを知る。
こんなときに日記ページを持っている研究室メンバーが多いと便利である。
問題が起こったら誰かしらの日記に状況が記述されるので問い合わせの必要がない。
プロセスを見たときに、kikutoshiというユーザのa.outが10個くらい走っていたので、
どうも変だなとは思っていたがやはりそうだったか。a.outを10個というのはさすがにまずいらしい。
気持ちはわからんでもないが。ということで今日は問題なくメールを読み書き。
たまっていた研究関係のメールを一気に処理することができた。よかったよかった。

帰りに大学の構内を歩いていると東アジア系の人々の集団と出くわす。
前は、東アジアの人を見かけると日本人かと思って注意深く見たりしていたが、
最近は全部中国人であるということが分かっているのであまり注意しては見ない。
今日の集団も案の定中国人で中国語での会話が聞こえる。中川家の漫才のような会話。
ロンドンの友人Mの話では中国系とかインド系の人々は群れを作りやすいそうである。
確かに、レスター大学にもいろんな人種がいるがそれぞれが独立にグループを作っている。
彼らはみな英語を流暢に話せるはずなのになんでグループになるのだろう。
そこらへんが良く分からない。英語が話せないなら話は別だが。

夕食はピザ。ハムとパイナップルというヤクザな取り合わせ。
ずっと前に買っていたにもかかわらず食べる機会がなかったので思いきって今日処理をした。
本当に処理をするという感じ。あまり美味しくない。これからピザは買わないようにしよう。

Lester教授の奥さんが誰かに似ているとずっと思いながら、誰かわからずにいたのだが、
今日その答えをやっと思いついた。元ヤクルトスワローズ監督の土橋氏である。ああすっきりした。

17/10/2001 (Wed)

今日も苦しい論文書き。今週中に完成させたいと思っているのだが、
かなりラフな形でしか完成しなさそう。まだクリアすべきポイントが幾つかある。

研究において、あるまとまった作業をする時は、始める前に何日くらいでできるかある程度の
見当をつけてからやることが多い。コンピュータを使ったデータ解析作業は見積もった
期間よりも早く終わることがしばしばあるのだが、論文関係はオーバーすることがほとんど。
だいたい見積もりの1.5倍くらいはかかっているような気がする。まだまだですな。

よく言われる格言、「研究は論文を書き始めてから始まる」というのはある程度真実だと思う。
いざ文章にしようとしてみると、今まで考えていた解釈を見なおす必要が出てきてしまうのである。
今日もそんなことが2度ほどあって、Lester教授やSteveにディスカッションをしてもらった。
ディスカッションをしていて思ったのは、やっぱりSteveが凄いということ。いいモデルになります。
自分が7年後にあんな感じになっていられたらなあと思ったりする(Steveは現在33歳、細川は26歳)。

レスターにいるとディスカッションができるのがうれしい。
京都では一人でおかしな方向へ論を進めてしまうことがしばしばあるが、
ここではこんがらがったら誰かしらとディスカッションができるのでその心配がない。
ディスカッションすれば必ず答えが得られるという訳ではないが、とりあえず前には進む。
逆に、ディスカッションばっかりしていると、自分のオリジナルなアイデアが潰れる傾向には
あるのかもしれない。そこらへんは気をつけたいところ。

今日の夕食はチャーハンに挑戦。フライパンを煙がでるくらいまで熱くして、油をしき卵を炒める。
具とご飯を加えて、フライパンを振り回し、最後にキッコーマンを加えて完成。
最初に卵を入れるときに、「フライパンは熱く、油は冷たく」しておくのが基本である。
この法則を守ると、本当に中華料理店ででてくるようなおいしいチャーハンになる。
今日はご飯に水気が残っていたようで、少しベチャっとしてしまった。

今日からEmmaの彼のアンドリューが家に泊まりに来ている。夏休みに京都で会って以来。
あいかわらずでかい。身長を聞いてもフィートで答えられるのでいくらなのかよくわからんが、
ブッシュマン的眼力で見積もったところ185センチ100キロという感じだと思う。
ちょっと痩せたという話であるが、全然分かりません見た目には。
彼もスペースフィジックスの分野のPh.D studentである。ランカスター大学。

アンドリューとチャンピオンズリーグを見る。今日はマンチェスターユナイテッドとスペインの
デポルテーニョの試合。マンUのホームのオールドトラフォードから生中継である。
マンUの調子は悪くなかったのだが、キーパーのミスなどで3点も取られる。
結局2‐3でマンUの負け。どうも今年のマンUはディフェンスに難があるよう。
ど真ん中で、簡単に裏を取られたりすることがある。ハーフの底がもっと動かないとだめである。

こちらに来てからサッカーをよく見るが、拍手が起こるプレーというものの定義が日本と少し違う。
Jリーグでは、例えばオーバーヘッドキックでクリアするなどといった派手なプレーに対して
拍手が起こることが多いが、こちらでは相手を背負いながらボールを受けて、
ボールを失わずにサイドへ大きく展開したりすると拍手が起こる。かなり違うもんである。

サッカーを見て、10時からアリーを見て、日記を書いて就寝。

18/10/2001 (Thu)

今日は久方ぶりの早起きである。9時前には大学に到着。
京都では9時に大学に行けないと罰金というお遊びをやっているので、
必ずと言って良いほど9時には大学にいるが、こちらでは今のところそれよりも少し遅めの始動。

仕事は、ちょこっと論文を書いて、後は統計解析の続きをやる。
統計解析がどうも思わしくなくて困る。これはものにならないという予感が出てきた。
ものにならないならならないであきらめ時を考えないといけない。
しかし、この解析は学振の書類で研究計画にも書いたことなのでやるべきなのだが。

Emmaの彼氏のAndrewが来ているということもあって、帰りに軽くパブでビールを飲む。
木曜日であるからかパブも閑散としていた。1時間くらいで引き上げる。

夕食は、Emmaが作ったカレーをもらって食べる。チキンカレー。
どうもこちらのカレーは具がいっぱいで、ルーが少ない傾向がある。
これが本場のインドカレーに近いのであろう。
しかし少ないルーで大量のご飯とナンをやりくりしないと行けないので大変である。

食後はEmmaが買ってきたビデオを見る。「Road Trip」というタイトル。
アメリカのコメディーであるが、下品なユーモアが爆裂して、最後はちょっとスタンドバイミーっぽい
感傷に浸ることができる良い映画。日本に配給された映画なのかどうかはわからないが、
とりあえず見たのは初めてであった。非常に面白かった。

こちらに来てからビデオで映画をたくさん見ている。最初の動機は英語の勉強になればというもの
だったが、いったん見始めると英語かそうでないかなんてどうでもよくなってしまっている。
「Matrix」、「MI:2」、「Contact」、「ショーシャンク」、「Pretty Woman」、「The Rock」、「Road Trip」、
「Saving Private Ryan」の8本を見た。EmmaとLisaのライブラリにはまだまだたくさんの映画が
あるので、どしどし見ていきたい。英語はほとんどわかりませんけど。

19/10/2001 (Fri)

大学に行ってメールを見ると、事務の小松さんから奨学金の継続申請をしてくださいという
通知が来ている。どうしたものか思案していると、家森先生から続いてメールが来て、
海外でなんらかの研究に従事している人用の申請免除手続きをとってもらえたそうである。
ありがたいありがたい。二穴も後で詳細を知らせてくれたので、とりあえず問題ないことを伝える。
やっぱりすぐに出してくださいという書類は大変である。エアメールでも届くまでにだいぶかかるだろうし。

今日も論文書きと統計解析の2本だてでのお仕事。論文は後少し。もうひとふんばりである。

今日は金曜日なのでセミナーの日。
今学期からセミナーの部屋にプロジェクターが設置された関係で、全員がパワーポイントでの発表。
プロジェクターはセミナー室の背面の一番てっぺんに設置されているので、
画面が大きく投影され、非常に見やすい。
しかし、みんなまだパワーポイントが面白くてしかたがない段階らしく、
アニメーションを多用した派手な発表が多い。まだまだですな。

セミナーの後は金曜日恒例のパブに行く。
これまでは、最初からごくごくビールを飲んで最後のほうは「もういりません」という感じになって
しまっていたので、今日は最初はゆっくりと飲むことにしてみる。
さすがに帰る間際には「もういりません」という感じにはなったが、今日は7杯飲めた。新記録。
そして、これがすべておごりであることも見逃せない。ただ酒万歳。

20/10/2001 (Sat)

週末なので11時起床。10時からのセリエAダイジェストを見逃す。中田はどうだったであろう?

昼頃、母親の携帯に電話をすると、飲み会の真っ最中のようで、非常にごきげんであった。
一方、父親は山の家でひっそりと自然と戯れているようである。
われわれは、こういった中年層をどういうふうに呼べば良いのだろう。
とりあえず、「不良中年」とでも読んでみることにする。

ポスドクのHina Khanという人が来週からNASAに一年間一時的な職を得て渡米してしまうので、
今日はその送別会のようなものがある。いつもはパブに行くのだが、今日はバーに行くそうだ。
日本でバーというとジャズとかがかかっていて静かにウイスキーとかカクテルを飲んだりするような
場所というイメージがあるが、こちらのバーはどちらかというとクラブに近い。広いフロアはないが、
大きい音で音楽がかかっていて、ほとんど立ち飲みのような感じである。非常に猥雑。

パブは11時には閉まってしまうが、バーは2時くらいまで開いているらしい。
客層もパブは老若男女さまざまであるが、バーは若い人が中心。というか年配の人はいない。
まあ、こんだけ音楽がうるさいところに年配の人はこないわな。
音楽はトランス系というかなんというか、まあ最先端っぽいやつ。
この「っぽい」というのが重要で、最先端からはほんの少しだけずれていて、
ひたすら音の数が多い音楽である。

音楽がうるさいと何が困るかと言うと、英語の聞き取りに支障が出るということである。
いつもは、相手が喋る言葉、ジェスチャーなど一挙手一投足に神経を集中して、
ほとんど綱渡りのような感じでコミュニケーションをしているのだが、
今日はあまりにうるさくて言葉が聞き取れないため、かなり苦労した。
しかし、イギリス人どうしの会話でもうまく聞き取りができていないようで、
「Sorry?」とか「Pardon?」が連発されていたので日本人の自分が聞き取れないのも当たり前か。

結局、3つのバーに行って深夜2時頃にタクシーで帰る。
これが「UKナイトライフ」ってやつでしょうか。両親が不良化すると息子も不良化する良い例である。
しかし、今日は激しく疲れた。ナイトライフもなかなか楽じゃない。

家に帰って、カレーのデリバリーサービスを取る。
バーでもやはり何も食わずに飲んでばかりなのでお腹がペコペコである。
ここらへんには、カレー、ピザ、中華のテイクアウトのお店がたくさんあって、
電話で注文すると家まで届けてくれる。これは非常に便利なサービス。
料金も日本のピザに比べればだいぶ安い。こんな遅くまで開いているし。

お腹がいっぱいになったところでたおれこむように就寝。
はて私はイギリスに何をしにきたんでしょうか。飲みに来たんでしたっけ?

21/10/2001 (Sun)

昨日一昨日と酒のみ生活を送ったので、今日は休養日という位置付け。
外はかなり強い雨で、どこへも行けないので、どちらにせよ家に釘づけになってしまう。

午後にEmmaとAndrewがASDAへ買い物に行くというのでついていく。
野菜とかヤキソバの麺(超重要!)が買いたかっただけなのだが、
なんやらかんやらで結局たくさん買いこんでしまう。

このASDAというのはいわゆるハイパーマーケットというスーパーマーケットの親分のような
お店である。みなさん、カゴのついた手押し車をもって、品物をじゃんじゃん入れていく。
最初来た時は、まだ思いきりが足りず、カゴにほんの少しの買い物しかしなかったが、
今日は、カゴいっぱいになるくらいまで買ってしまった。だいぶシステムに慣れつつある。

野菜売り場でシイタケを発見。ラベルにも「Shiitake」と書いてある。
中国産のシイタケのようであるが、なかなか美味しそうなので購入。
こちらでは、いわゆる生野菜(レタスとか)は今一つの印象があるが、
きのこ類と花野菜(ブロッコリー、カリフラワー)がとても充実している。
甘いお菓子類が安いのもいい。エクレアとか二本で100円しなかったりする。
安い割になかなかおいしいエクレアである。食べ過ぎに注意しなければならない。

BBC(日本のNHKに相当)で、「The Blue Planet」という番組が毎週日曜日に放送されるのだが、
これが本当によくできていて驚くほどである。基本的には海の自然を撮影しているのだが、
こんな映像どうやってとったんだというようなものばかりである。
今日は、サメに食われるさんご礁の魚の映像がショッキング。
本当にどうやって撮影しているんでしょうねえ。サメによく食べられないもんである。

夕食は、Emmaがローストビーフを作るというのでおまかせ。
3時頃からシコシコとなにやら下ごしらえをやっていて、できあがりはこんな感じ
とてもおいしかった。イギリスの料理はあんまりおいしくないというのが定説であるが、
ローストビーフだけは今までまずかった記憶がない。
それだけに、イギリス料理の代表的なメニューとなっているのであろう。

22/10/2001 (Mon)

今日はちょっと研究について書いてみようと思う。自分が何故レスターにいるのかについて。
先週末に飲んでばかりの生活を赤裸々に綴ってしまったので、けっしてビールを飲むために
はるばるイギリスまでやって来たのではないことを少し主張してみたい。

自分はSuperDARNレーダーという国際共同観測によって取られたデータを用いて、
まあスペースフィジックスというか電離圏物理というかそんな感じのことをやっている。
主に、南極昭和基地にあるレーダーのデータを使っているのだが、
その磁気共役点(地球の固有磁場で結ばれている逆半球の点)が、
レスター大学のレーダーの視野の中にぴったり入るのである。
よって、この共役性を利用していろいろな研究が可能であるのだが今のところあまり行われてはいない。
それには、南北両半球の双方のレーダーについてスペシャリストであることが難しいからとか、
データの処理が面倒くさいからとかいろいろな理由があるのだが、とにかくあまりやられていない。
そこで、昭和基地レーダーのデータを持ってはるばるイギリスくんだりまで来て、
レスター大のレーダーのデータと比較し、そこに風穴を開けようとしているのである。
風穴が開くかどうかはまた別の話であるが、とりあえずやってみようとしているところである。

研究もきちんとやっていることをお分かり頂けたでしょうか。

今日の夕食は、Emmaの彼のAndrewがカレーを作るというので、便乗させてもらう。
本当にレスターの人はカレー好きね。「土曜日も食べなかったけ?」という言葉が、喉まで出かかったが、
それは言わないでおいた。何故なら自分も京都では、一日3食日清どんべえとかよくやるので。
ともあれ、Andrewカレーは非常によい出来だった。前にもらったEmmaカレーは少し甘すぎの感が
あったのだが、Andrewカレーはなんとなくきびきびしている感じ。非常にすっきりした。

夕食後は、007シリーズ「Golden eye」という映画をやっていたので、最後まで見てしまう。
この映画の最後の格闘シーンはプエルトリコのアレシボレーダーが舞台として使われているのだが、
何度見てもアレシボレーダーはかっこいいね(斎藤さんのページ参照)。
一緒に見ていたAndrewもEmmaもレーダー屋さんなので、「アレシボだぜ、アレシボ」と大騒ぎ。
こういった人達を我々は何と呼べば良いのだろう。

レーダーおたく?

アニメおたくやアイドルおたくを遥かに凌ぐまったくあたらしいジャンルのおたくである。

23/10/2001 (Tue)

先週からずっと書いていた論文の第一次の原稿が完成。
とりあえずこれをたたき台にして、Lester教授に見せる形にしていこうと思う。

論文書きと並行してやっていた統計解析のプログラムに何らかのバグがあることが判明。
このバグの原因がどうやってもわからずかなり紛糾する。
帰る間際に、太陽風のデータの読みこみ部分のバグが全体に波及していることが分かる。
まだまだですな。バグを直して、統計を全てやりなおすジョブを走らせて帰宅。

今日の夕食は3日ぶりに自炊。
自炊となると、当然のごとく得意のヤキソバが炸裂。
にんじん、ブロッコリーなどを入れて食べた。今日も出色の出来である。
日本に帰ってからも作りそうなくらいおいしかったです。

今日も夕食後はテレビで映画を見る。
こちらでは、ほとんど毎日どこかのチャンネルで映画をやっているのでうれしい。
下手なドラマよりも映画が良い。今日はエディマーフィーの「ビバリーヒルズコップ2」。
昨日の007でジェームスボンドの英語が結構聞き取れたという感触を持っていたのだが、
そのささやかな自信は、今日、エディマーフィーに思いっきりぶっ潰された。
エディマーフィーの英語はほとんどわからない。たんなる音にしか聞こえません。
雨の音とか車のエンジンの音とかと完全に並列に存在するような、単なる音。意味をなさない音。

まあ、予告で、「Enjoy his strong English」と言っていたくらいなので、
エディマーフィーの英語は特別なのだろう。というか特別であってもらわねば困る。

24/10/2001 (Wed)

今日の朝早くにに、Emmaの彼のAndrewがランカスターに帰った。
彼は本当にイイ奴である。パーマンのパーヤンのような雰囲気がある。ずっと居てくれてもいいくらい。
女2対男1ではやはり少し分が悪い。Andrewが居て丁度いい。でかいから多少手狭にはなるが。
自分が帰るまでに、もう一度くらいは来れるそうなので、また長居してくれ。

大学についてメールを見ると、研究室の長尾さんが帯状疱疹にかかったというメールが来ていた。
この帯状疱疹という病気はほとんど誰も知らないと思うが、実は、自分は小学校6年生の時に、
この病気にかかったことがあります。いまでもお腹のサイドの部分に痕がかすかにある。
この病気は小さい小さい水ぶくれのようなものが非常に狭い領域に集中してできるもので、
別に痛いわけでもなく、熱がでるわけでもないのだが、確か痒かったと思う。
その時は、サッカーの練習が休めるということで大喜びした記憶がある。長尾さんお大事に。

帯状疱疹のことを長々と述べるくらいだから、今日はあまり大きなニュースがない。
一日シコシコと研究活動をしていましたということであります。

今日の夜は、Emmaは実家に帰省で、Lisaはバレーの試合ということでひとりでお留守番。
チャンピオンズリーグのグループリーグ最終戦を見る。アーセナルとレアルマヨルカ。
稲本はどうやらベンチ入りできていないようである。立ちあがりからアーセナルのペース。
アーセナルのサッカーはフランス人がおおいせいか、フランス代表とちょっと似ている。
本当に見ていて楽しいサッカー。ロングボールはほとんど使わずに、グラウダーのパスで
崩していくというスタイル。ピレスという選手が素晴らしい。ピレスはフランス人っぽい
男前な顔をしているのであるが、ゴキブリのようなドリブルで相手を切り裂いていく。
端整な顔立ちとゴキブリドリブルがなんとも対照的である。ポルトガルのフィーゴのプレーに近い。
結局3‐1でアーセナルの勝ち。イングランドからは、マンU、アーセナル、リバプールの3チームが
決勝トーナメントに進出できそう。なかなか調子がいいようである。決勝が楽しみだ。

そういえば、昨日、川口能活の入団会見がBBCで放送されていました。がんばれ川口。

サッカーの後はアリーマクヴィールを見て早めに就寝。

25/10/2001 (Thu)

ずっと書いていた論文の第一草稿をとりあえず完成とする。
スペルチェックを書けようと思ったが、ispellがレスターのSGIにはインストールされていない。
イギリス人はスペルミスをしないのか、それともUNIXで文章を書かないのか?
しょうがなく京都の計算機まで原稿を持っていってスペルチェック。
まだまだ議論の甘い部分はあると思われるが、Lester教授に渡してコメントをもらうことにする。
そのコメントを叩き台にして最終的な原稿を作成したいと思っている。

論文が一応の完成をみたので少し気分が楽になる。
これでとりあえずレスターに来てやるべきことの一つ目ができた。まずまずのペースか?
続いて、修士の時にやっていたテーマのイベント解析の論文を書くことにする。
論文を書くという作業はなるべく一気にちゃっちゃとやってしまったほうがいい。
来週末をメドに草稿を作りたいと思っている。がんばれ俺(龍峰風)。

帰る間際に日刊スポーツを見るとヤクルトが日本シリーズを制したようである。
近鉄バファローズ残念。ヤクルトの優勝はいたずらに二穴を喜ばせるだけで、
本当につまらない結末である。二穴おめでとう。矢島さん残念でした。

今日もEmmaは実家に帰省中ということで不在。
夜は、おもしろいテレビがないので、Lisaと「インディペンデンスデイ」をビデオで鑑賞。
この映画は確か、自分が学部3回生の時にロードショーされたもので、
大阪ミナミの南街会館で見た記憶がある。

今回改めて見てみて思ったのは、「よくこんなくだらん映画見たな」ということである。
わかりやすいのはいいが、わかりやすすぎる。アメリカ主義を押し付けられて少しぐったり。
しかし、テロ以降のアメリカの対応を鑑みると、アメリカという国が外的な侵略に対して、
どのような社会的な流れを作るのかということを的確に描いてはいるのかもしれない。
その意味ではなかなかup to dateな映画である。

26/10/2001 (Fri)

今日から新しい論文をまたシコシコ書いている。このテーマは修士でやっていた統計解析から
導いた推論を実際の観測からサポートできないもんかなと思って始めた完全なインディーズ研究である。
名古屋大学の杉野さんにEISCATデータの処理を手伝ってもらってなんとか論文まで漕ぎ着けた。
レスターのレーダーを使っているので、できれば今回の滞在中に仕上げて、Lester教授に
コメントをもらおうと画策しているのだが、果たしてできるでしょうか?

夕方頃、とびきり嬉しい知らせを二穴がメールで知らせてくれる。
学振特別研究員に採用されたのだ。通知書をわざわざスキャンしてwebに載せてくれる
という出血大サービス。二穴も採用されたようでダブルで良い知らせである。やったね。
学振は今回が3度目の応募であったのだが、3度目の正直とはまさにこのことである。
1回目、2回目は、「当たれ当たれ」という怨念を込めて申請書を書いたのであるが、
今年は、どっちでもいいやといった感じで軽く書いた。そんなときに限って当たるんだな。

今日は金曜日であるので、またまたパブに行く。
いつもはカールスバーグというビールを飲んでいるのだが、今日はステラというのを飲んでみる。
皆の話ではステラはきついことで有名ということであるが、飲んでいるときは違いが分からない。
調子に乗って4杯くらい飲んだ後で、いきなりガツンと限界が訪れた。それ以降は1滴も飲めず。
ふらふらになって家に帰り、そのまま就寝。

27/10/2001 (Sat)

ロンドンの友人Mが携帯電話を貸してくれるというので、ロンドンまで受け取りに行く。
2時にピカデリーで待ち合わせだったので、11時前に家を出発。11時36分の電車を待っていると、
何故か11時26分に電車がホームに入ってくる。先々週は大遅延で、文句を日記に書いたが、
今週は10分もはやく到着。なんで早く着くの? どういうシステムでやったら10分も早く到着するんだ。
まったくイングランドの電車事情というのは不思議なもんである。

1時前にはロンドンに着いてしまったので、グリーンパークからバッキンガム宮殿周辺をプラプラ散歩。
今日は先々週にもまして人が多い。天気が非常に良いので、なかなか気持ちが良い。
ロンドンはハイドパークやらグリーンパークやら公園がかなり充実している印象がある。

2時にMと落ち合って、携帯を借りる。携帯の他にロンドンのマップやらも借りる。
地球の歩き方を忘れたのでロンドンマップがないとどこに行くにも不便だったのだ。
その他に、ほんだし、かつおぶし、日本茶などももらってしまう。ありがたい。
やっぱり日本人は「だし」がないとね。来週はこれでブロッコリーのおひたしでも作ろう。

借りた携帯電話はこんな感じ。向かって左が日本から持ってきた携帯で、右が今回借りた携帯。
はっきりいってかなり重厚な作りである。しかしこれがイギリス標準サイズ。みんなこれである。
NOKIAというメーカーの製品らしい。電話会社はOrangeというところ。Lisaのと同じだと思う。
この携帯はいわゆるプリペイド式のもので、Mは今は新しいやつを使っていて余っていたため、
今回貸してもらえることとなった。日本でいるときも携帯はほとんど使わないので、こちらで
この携帯を激しく使うことはないと思うが、なにか緊急の用ができたときに便利ではある。
まずは使い方をきちんとマスターしないといけない。

Mと夕食を中華街で食べる。携帯を貸してくれたお礼と学振に採用されたお祝いということもあって、
奢りが炸裂する。といっても中華街なのでそんなに高くなくて負担はあんまり大きくないのだが。
今日行った店はかなり美味しくて安かった。豚肉とチンゲンサイの炒め物、カタヤキソバ、麻婆豆腐、
水餃子、ライスを食う。これで、腹いっぱいになって17ポンド弱。かなり安いと思う。今まで行った
中華街(シドニー中華街、サンフランシスコ中華街)のどのレストランよりも美味しかったように思った。
やっぱり中華は日本食に近くて気分がほっとする。8時の電車でレスターへ帰る。
9時過ぎにレスター着。9時以降は危ないのでタクシーに乗るようにとEmmaに言われていたので、
指示どおりにタクシーに乗ってお家に帰る。今日も無事に家に帰って来れました。

明日は、レスターでゆっくりしようと思う。

28/10/2001 (Sun)

昨日でサマータイムが終了。毎年、10月の最後の日曜日から冬時間になるそうである。
朝起きて全ての時計を1時間早める。目覚まし、パソコン、Gショック、それと昨日借りた携帯電話。
今までは日本との時差が8時間であったのだが、これからは9時間になる。

サマータイムという概念はなかなか我々には分かりにくい。
特に何故それを導入する必要があるのかという部分が不透明である。
恐らく、自分が推論するに、朝すでに日が昇っているのに寝ているのはもったいないというのが
ひとつ目の理由で、仕事が終わっても明るい時間が長くていっぱい遊べるというのが
二つ目の理由であろうか。日本もサマータイムを導入することを検討しているようであるが、
日本人はワーカホリックなので、結局暗くなるまで仕事をしそうである。なんとなく。

今回の滞在の終わりごろにでも、パリに遠征できないかと密かに思っている。ユーロスターで。
イタリアに行った時に、飛行機の乗り継ぎで、シャルルドゴール空港に一泊したのだが、
その時はさすがに時間がなくてパリまで行くことはできなかった。そのリベンジの意味合いもある。
グループの人達にもユーロスターのチケットの取り方とかパリの治安なんかについて、
ぼちぼち聞いたりしているのであるが、なんとなく行けそうな雰囲気というか気分にはなってきている。
問題は、ホテルが安く確保できるかということと、ユーロスターの座席が予約できるかということの2つ。

そんなことで、今日は街の本屋までいってパリのガイドブックをゲットしてきた。
トーマスクックという会社のガイドブックである。スターバックスでコーヒーを飲みながら眺めてみる。
このトーマスクックという会社は電車の時刻表で確か有名だったと思う(そうですよね竹田先生?)。
英語なのでなかなか必要な部分を探すのが面倒ではあるが、とりあえず役には立ちそう。
ロンドンは小さい街なので歩いてどこへでも行けるが、パリはロンドンに比べてだいぶ大きいらしい。
それだけに、地下鉄をうまくつかえるかどうかが重要なんだそうです。オリセー美術館は行ってみたい。

大学生協の旅行代理店でユーロスターについて聞いてみるのと、インターネットでホテルを
探してみることを来週、再来週あたりでやってみようと思っている。行けるかなあ花の都パリ。

街まで行ったついでに、Safewayによって、リンスやらキッコーマン醤油やらを買う。
なんとなく、「カステラでも買って帰りたいなあ」という気分になって、カステラを探すが無い。
代わりにチーズケーキのようなものを買って帰る。たまには甘いものもいいだろう。

29/10/2001 (Mon)

冬時間の導入とともに、朝早く明るくなり、夜早く暗くなるので、
生活時間帯を1時間前にずらすことにする。今までは9時過ぎに家を出ていたのだが、
今日から8時過ぎに家を出ることにする。Emmaも同じことをたくらんでいるようで、
朝はちょうどいっしょの時間に家を出て大学まで歩いた。近道をいろいろ教えてくれるのであるが、
とても近くなっているようには思えない。いつもの道が一番早いぜ。

今日も大学で論文書き書き。前からある程度書きかけていたものではあるので幾らか楽ではある。
今日で、観測結果の部分まで書き終わることができた。
明日ディスカッションがどれくらいスムーズに書けるかで今週中に完成するかどうかが決まりそう。

5時に大学を出るとあたりはもう真っ暗。
昨日までの6時が今日の5時に相当するので当たり前ではある。
しかも、今日は凄く寒かった。明日から手袋とニット帽が必要である。

今日の夕食は日本風のものを作ろうと決心する。友人にほんだしとか鰹節をもらったので。
ブロッコリーと鶏のムネ肉をほんだしで茹でて、鰹節をかけて食べてみる。
ご飯もいつもよりも長めに茹でて、ちょっとだけ日本のご飯に近くしてみた。かなり上出来。
Lisaが鰹節を不思議そうに長めて、「これは何?」と聞くので、「dried tuna」とこたえたが、
厳密にはカツオはツナではないよね。ツナはマグロである。うそも方便とはこのこと。
外国にいると自分がどんどんいいかげんになっていくのを感じることがある。

夕食後に、Lisaはバレーボールの試合、Emmaはジャズバンドの練習にでかけてしまったので、
今日はひとりでお留守番である。007シリーズ「Tomorrow never dies」をテレビで見る。
ジェームスボンドはやっぱ面白い。英語も比較的聞き取りやすいし。
もし聞き取りがうまくできなくてもアクションで楽しめるところもよい。

明日も7時30分くらいには起きたいので、11過ぎに寝る。

30/10/2001 (Tue)

今日は寒さは幾分和らいだものの、風が非常に強い。びゅうびゅう吹いている。
でも、天候がこのように極端だと、会話のとっかかりに使えるので少し重宝する。
「It's windy today」とか適当に言っておけば、多少時間が稼げる。
稼いだ時間で次の話題をひねり出せばいい。これは重要なテクニックかも。

今日は論文のディスカッションを書く。筆はけっこうすすんだのだが、
オブザベーションで述べたことを再びだらだらと述べているような部分があるような気もする。
FAIの線形成長率を計算してみると思ったよりもかせげていないことが判明。
線形成長率がかせげないのはFAIを研究するうえでの永遠の難題である。
カスケードプロセスといういわば非線型の過程を考察に加えることを余儀なくされる。
いつものことだから慣れてはいるのだが、最後の最後ですっきりしない感じが残ってしまう。
この大きいFAIから小さいFAIへダンプしていくカスケードプロセスは、イメージは抱きやすいが、
定式化することが難しいので、議論を深く掘り下げることが事実上不可能になる。すっきりしない。

Lester教授は今年から教授になったので、教授就任講演会が夕方からもようされた。
かなり広いシアターのような講義室に100人くらいの人があつまる。
大学の関係者、イギリス国内の関連研究者、そして家族が招待されている。
話題はオーロラとレーダー観測というタイトルで素人にわかりやすいタイプの講演。
極地研の佐藤先生のオーロラ観測のアニメーションなども登場しなかなか受けていた。
しかし、随所にちりばめられたギャグが空砲に終わる場面があったりしたのは笑えた。

講演の後は、大学のカフェテリアで簡単なパーティーのようなものがある。
ワインと軽食が振舞われる。SuperDARNのHalleyレーダーのPIで、
British Antarctic Survey (BAS)のMike Pinnockが来ていて声をかけられる。
どうやら自分がレスターにいることを知っていたふうな話し方で、
「帰る前に、いっぺんBASに来ーへんか」というありがたい誘いを受けたので喜んで受ける。
BASはケンブリッジにあるので電車で行ってもそんなにはかからないはず。
週末を引っ掛ける感じでプランを立てたい。

パーティーの後は、グループの人間だけで、Lester教授の家へ行って飲む。
大量のワインと食事が用意されており、飲んだり食べたりが非常に忙しかった。
こんなにいっぱいの人が家に押しかけて奥さんや家族の人はさぞ迷惑だったでしょう。
11時頃まで飲んでお開き。帰りはAdrianに家まで車で送ってもらう。

明日はハロウィンである。

31/10/2001 (Wed)

今日は風の強さが昨日並みで、気温がだいぶ下がって非常に厳しい天候となった。
空を流れる雲がものすごいスピードで動いている。

今日は論文のドラフトがだいたいにおいて完成したので、プリントアウトしてLester教授に持っていく。
昨日までは、教授就任講演の準備で余裕がなかったが、これからは多少暇なので、
詳細にチェックしてもらえるとのこと。Annales GeophysicaeのEISCAT Workshop特集号の
デッドラインが1ヶ月伸びたらしいのでなんとか投稿できないものかなと思ったりしている。
あと2週間で投稿までもっていけるだろうか?

今日はハロウィン。ハロウィンは我々にはとんとなじみのない行事である。
名前を聞いたことがある程度。詳細はわからないが、体験してみた結果から言うと、
要は、家でパンプキンパイを食べたりホラー映画を見たりして過ごす日のようである。
子供達はお化けに扮して近所の家を巡回し、甘いお菓子をもらうことができるようだ。
この文化が全英、全米全てのハロウィンを通じてのものなのか、レスター式のハロウィンなのかは
わからないけれども、たいていこんな感じでやっているものと思われる。
深い意味は分からないけれど、EmmaとLisaの話を総合して考えると、
お化けを取り上げて祝うことで、厄払いをしようという意味がある模様。

ということで今日は5時前に仕事を片付けて家に帰る。
Emmaが買ってきた大きなかぼちゃをくりぬいて、顔を彫る作業をやらせてもらう。
かぼちゃを刳りぬくのがなかなかの重労働。顔を彫るのはなかなか楽しい作業。
できあがりはこんな感じ。なかなか上出来である。家の玄関において、子供達を誘う役目を担う。
そうこうしているうちに、子供達がわらわらとやってきて、お菓子をもらっていく。
彼らは皆、お化けのような格好に扮していて、お菓子をやるかわりに写真をとらせてもらう。
お化けというよりはなんとなく夏祭りの夜店帰りの小学生のようである。

家ではEmmaがパンプキンパイなどの料理を用意してくれて、
Emma、自分、Lisa、Adrianとその彼女のKelleyで、料理を食べながらホラー映画を見る。
「ブレアウィッチプロジェクト」。修士論文を提出したあとすぐに見に行った映画である。懐かしい。
筋書きを知っていればなんのことはないホラーであるが、Lisaだけが見たことがなかったため、
一人で怖がっていた。他の4人は魔女の実体が結局は現われないということを知っていたため、
怖さもそれなりであった。ともあれ西洋の文化を体験することができたのは本当に貴重であった。

明日はもう11月だ。

01/11/2001 (Thu)

今日から11月である。レスター滞在ももう半分が過ぎてしまった。早いものである。
夏の日本を出国して、イギリスについたら冬が始まろうとしていた。そして、いまや真冬である。
2001年の秋というものは自分の人生に存在しなかったかのよう。
夏が終わって少しずつ寒くなってくる感じがなかなか好きなのだが、
今年はそれも感じられず終い。残念ですたい。

一昨日、昨日となかなかイベントイベントした日々を送ったのだが、
今日は至って平穏な日であった。論文関係がひと段落したので、統計解析の続きをやる。
しかし、最近どうも統計解析がつまらなく思えてしょうがない。やっぱり事例解析が楽しい。
しかし、明日の午後にLester教授とディスカッションをすることになっているので、
なんとか気分を盛り上げて、バリバリやってみた。

大学を出る前に、インターネットを見ていると、「マスターズリーグ」なる野球のリーグが
開幕したようである。「村田兆治快投」とかいう見出しがあった。なんですかそれは。
スカイパーフェクTVで全試合中継ということらしいが、誰が見るんだそんなもん。
引退して解説者とかコーチになれなかった人を救済するための措置かなんかですか?

なんでもFBIが今週から来週にかけてまたテロがありそうなので気をつけるようにという
公式警告をだしているようである。今週末はLester教授とサッカーを見に行かねばならないので、
レスターにいることになるだろう。レスターに居る限りテロの心配は皆無。

どうも今日は出来事に乏しい日であったようで文章も短い。これぐらいが実は適量?

02/11/2001 (Fri)

今日は午後2時からLester教授と研究の話。
統計解析でやったことを一通り説明していくつかのコメントをもらった。

個人的には、IMF Bxに対する依存性の南北比較をもうちょっときちんとやって、
lobe cell reconnectionの効果を見積もれないかなあなどと思っているのだが、
Bxはmagnetopauseでdrapingしてしまうので、なかなか効果が見えにくい由。
しかし、やるだけはやってみようと思う。これは来週の課題。

Lester教授に、「統計解析つまんねえなあ」と思っていることを率直に話すと、
「統計解析は事例解析をやるうえで重要な参考資料になるからやっといたほうがいい」
といったようなことを言われる。まあそうですけどね。

研究の話がひととおり終わったあと、「イギリスの国内学会があるから発表しろ」と言われる。
日本のSGEPSSに相当するMIST(Magnetosphere Ionosphere Solar Terrstorial)という学会が
11月23日にロンドンであるんだそうだ。英語発表は人並み以上にこなしてきたと思うし、
それなりに自信みたいなものもあるのだが、イギリスの国内学会となるとちょっとびびるね。

論文を2本書き上げたということで、残りはこれからやる新しいテーマでも探しながらお気楽に
行こうかなと思っていたのだが、なかなかそうは問屋が卸さないようである。
スペクトル幅の共役点観測の事例解析の話をすることにしようと思う。
これから準備をしなければならない。

ロンドンの友人からメールが来て、ユーロトンネルがどうやらテロの標的になっているらしいので、
ユーロスターに乗るのはちょっと様子を見たほうが良いということ。剣呑である。どうしたもんかな。

金曜日なのでパブへ行く。今日は人が少ない。全部で8人くらい。
いつもは15人くらいの大所帯なのだが、どうしたことだろう。
SteveにSessaiは今年中にPh.Dとれそうなのかと聞かれるが、詳しいことはわからんと答える。
京都に特別講義に来られるようなので、そろそろ近いかもしれないとは思うが。

明日は待ちに待ったプレミアリーグ。

03/11/2001 (Sat)

今日はプレミアリーグサッカーを見に行くので週末ではあるが9時過ぎに起床。
10時からのセリエAダイジェストを見たところ、中田パルマの監督が更迭された模様。
中田は本当に今試練の時を迎えている。大変だとは思うけど頑張って欲しい。

ゲームは12時からなので11時に大学のコーヒーショップでLester教授と待ち合わせ。
朝昼兼用の食事を食いながら、今シーズンの成績のおさらいをしてもらう。
レスターは現在1勝3分け8敗で豪快に最下位を走っている。勝ち点はたったの6(!)。
2週間ほどまえに監督が更迭されて現在チームの立てなおし中だそう。
今日の相手はサンダーランドというチーム。中くらいの強さなので勝てる可能性はあるとのこと。

前回連れていってもらった時と同じように、Lester教授の息子さんのシーズンチケットで入場。
スタジアムの雰囲気は相変わらず素晴らしい。今日は天気も良いので芝の緑が映える。
観客は超満員。西京極でのんびり見るサッカーに慣れているせいか多少の戸惑いはある。

試合が始まって、レスターが最下位にいる理由がなんとなく分かってくる。
前回見に来た時に思ったのは、テクニックはないが、ボールをよく追っかけまわすチームだなという
印象を持っていたのだが、今はそこがあまりよくないようである。チェックがかなり甘いように感じられた。
あと、中盤に遠くを見れる選手がいないので、展開が小さくなりがちでもある。
しかし、最終ラインはなかなか集中して頑張っているようで、点はかろうじて取られない。

前半は一進一退であったが、後半に入ってレスターがペースを握り始め、
コーナーキックからの混戦を押しこんで先取点を取る。ものすごい歓喜の渦が巻き起こる。
何週間ぶりかに取った点だからうれしいのも無理はない。そりゃうれしいだろう。
虎の子の1点をなんとか最後まで守りきって、今季2勝目。勝ち点も9に伸びた。

素晴らしい。自分が見に来ると負けないという神話は守られた(まだ2試合ですけど)。
チーム状態はまだまだ改善の余地はあるのだろうが、やはり結果は重要である。
結果が自信を生み、また次の結果につながっていく。これで最下位も脱出。
次は降格圏内を脱出することが目標となる。頑張れレスター。
選手の名前とかあんまり知らないけどとにかく応援しているぞ。

帰りにSafewayによってお米を買う。今まではEmmaのインディアンライスをもらって
食っていたのだが、Safewayのお米コーナーを良く見てみると「SUSHI RICE」というのが存在して、
まさに日本のお米である。値段も500グラムで300円とそんなに高くはないので試しに買ってみる。
家に帰って、SUSHI RICEを炊いて食べる。なかなかおいしい。というか日本のお米である。
「KIKKOMAN SOY SAUCE」と「SUSHI RICE」があればいくらでも生きていけそうである。

04/11/2001 (Sun)

今日は日曜日なので昼前に起床。たらふく寝た。もうこれ以上寝れません。
土曜日はどこかへ出かけて、日曜日はゆっくり家でくつろぐというスタイルが固まりつつある。

今日はLisaのボーフレンドのMikeが来ている。
Mikeはサウスハンプトン大学の天文学の助手レベルの人。ちなみに名字はGoodという。
Mike Good。「加藤良夫」みたいなもんだろうか。とにかく非常に珍しい名字である。

彼は、だいぶ歳が上で、33歳くらいである。Lisaとは10歳近く離れている。
ちょっとだけ歳の差カップルである。Mikeはとにかくもの静かな人。
しかも、喋る時に、あまり口を大きく開かないので、非常に英語が聞き取りにくい。
フランス人の英語みたい。いろいろな英語がありますな。

Mikeが来ているので、夕食はLisaが作ってくれたものを食べる。
ヒツジの肉のローストビーフとヨークシャープディング。抜群に美味しかった。
Lisaは料理のセンスが良いらしい。Emmaは頻繁に料理を作ってくれるが、
たまに味がしっかりしていないものを作る。その点、Lisaはたまにしか料理をしないが、
必ずしっかりしたものを作る。料理は努力ではなくて、センスなんでしょうか?

Mikeが帰ったあと、Lisaと日曜日に良く見ているドラマを見る。スコットランドが舞台のコメディ。
モナークオブなんちゃらというタイトル。スコットランドの風景がとても美しい。
極地研がスコットランドにSuperDARNレーダーをつくろうという計画を持っていたと思うのだが、
こんな風景ならばレーダーの設置やオペレーションもさぞや楽しいだろうなと思う。

このドラマには、スコットランドの訛りがある英語がバリバリ出てくる。
文章の最後が急に下がるのが特徴。NASAに行ったHinaの英語がそうだった。
スコティッシュで早口だとほとんどわかんねえな。

さあ明日からまた1週間が始まる。頑張って行きましょう。

05/11/2001 (Mon)

もう本当に寒い。繰り返し寒い寒いと言っているので、
いいかげんやめろという声が聞こえそうだが、寒いんだからしょうがない。
家の暖炉にも今日から火が入った。

Lester教授に朝一番で、Annalesに投稿した論文のレフリーコメントはまだ来ないかと聞かれる。
それらしいメールはまだ来ないと答えると、電子投稿しても返事がメールで来るとは限らないので、
京都の郵便をチェックしたほうがいいと言われる。
そんなことで、センターの近藤さんにポストのチェックをして、もしそれらしいものがあれば、
FAXしてくださいというお願いのメールを書く。果たして来ているのでしょうか?
rejectだったりして。ああ恐ろしい。

この他にも、今日は、月末にあるイギリスの国内学会のアブストラクトを投稿したり、
BASのMike Pinnockにいつ頃ケンブリッジに行けばよいか聞いたり、メールを書いてばかり。
しかし、相変わらず英語のメールは書いたり消したりでなかなか筆が進まない。
京都では、英語手紙用例集というものがあるので、そこから表現を引っ張ってくれば良いのだが、
ここにはそんなものはないので、適当な文をでっち上げて書く。用件が伝わればまあいいか。

今週の金曜日のセミナーで発表の順番が回ってくるので、その準備もそろそろ始めてみる。
南北半球でのスペクトル幅を事例解析したテーマで話そうと思う。パワーポイントで行くことにする。
今レスターではパワーポイントがおおはやりである。ここ数回のセミナーを見ていると、
OHPで発表する人は、なんらかのパワーポイントでないことに対する言い訳を言わなければならない
よう。もうあと一年くらいすれば学会もほとんどパワーポイントになるんだろうな。

今日は至って平穏な一日で、家に帰って「X file movie」を見て寝ました。以上。

06/11/2001 (Tue)

午前中に、大学内の旅行センターへ行って、来週末のパリ行きユーロスターのチケットを予約してきた。
午後の便には空席が無かったので、午前中にロンドンを出る便になってしまった。
レスターを出るのは早朝になってしまいそうである。

ユーロスターは学割を使えば59ポンドでロンドン‐パリ間を往復することができる。
往復で一万円くらいというのはもう破格的に安いといって良いだろう。素晴らしい。
ユーロトンネルがテロの次の標的としてリストアップされているという報道があったので、
空路で行くことも検討したのだが、ユーロスターで行くというところに魅力を感じていたので、
ここはあえて列車で行くことにした。列車で国境を超えるというのはもの凄く魅力的である。

インターネットでホテルをちょこちょこと探したり、Steveにお薦めホテルを聞いてもらったりしていた
(彼のお母さんはフランス人)のだが、ここに来て、Tim Yeomanの奥さんからパリで絶対お薦めの
ホテルというのを熱烈に勧められたので、そこのウエブサイトを探して予約をする。2泊で100ポンド。
この宿もかなり安いと思う。2つ星だけど、ノートルダムの近くでオルセーにも近いらしい。めでたし。
後はどこらへんを重点的に見るかを決めるだけである。とにかくなんとかパリには行けそうである。

午後にEmmaに頼まれて、彼女の統計論文用追加解析の手伝いをする。
具体的には昭和のデータを用いて、彼女が北半球でやった追加解析と同じことをやる。
今週の内に仕上げてくれればいいということであったが、集中して今日中にプログラムを書き上げて、
バッチジョブを走らせて帰る。明日には完了していると思う。頼まれ仕事は急ぐべし。

今日の夕食はEmmaが作ったカレーをもらって食う。
冷えた体がいっぺんに暖かくなるような激辛カレーであった。
寒いのでやっぱりホットなもんが食べたくなる。

今日は大学でセミナーの準備ができなかったので、家でパワーポイント作成。
イギリスに来て初めて家で仕事をした。6時以降に仕事をしたのもこれまた初めて。
パワーポイントをちょこちょこいらっていたら12時になったので慌てて眠る。

07/11/2001 (Wed)

午前中にBASのMike Pinnockからメールが来て、「11月30日にBASに来い」とのこと。
週末ずっと滞在できるようにホテルも取ってくれるとのこと。ラッキー。BASはケンブリッジにある。
Emmaは学部はケンブリッジを出ているので、ケンブリッジについてはいろいろ聞き及んではいる。
オックスフォードとケンブリッジはイギリスの大学2強であるが、街としてはオックスフォードのほうが
大きいようである。ケンブリッジはこじんまりとしていて、学生はみんなチャリンコだそうだ。
なんとなく百万遍の大学周辺と似ているような雰囲気があるような気がする。

昼までに、昨日Emmaに頼まれた仕事をまとめて、結果について話をする。
副産物として、新しいテーマのアイデアも出てきたし、なかなか有意義なディスカッションだった。

このテーマをEmmaと共同でやることができたのは本当に幸運だったと改めて思う。
自分が昼間側、Emmaが夜側というふうにすみわけがきちんとしているので変に気を使う必要がないし、解析は各自が詳しい部分について手分けしてやっているので手間のほうは半分ですむ。
なかなかいいシステムだと思う。後は、このコンビで継続的に論文を出していけるかが問題だ。

今週いっぱい、Maynardという人が大学に滞在していて、今日はその人の特別講義がある。
電離圏界隈では有名なHeppner & Maynardの電離圏対流モデルのMaynardである。
そんな有名な人の講義なのでちょっと楽しみにしていたのであるが、内容はちんぷんかんぷん。
英語がふにゃふにゃだったこともあって、10%も理解できていないと思う。
後で、Emmaに聞いたところ、彼女もちんぷんかんぷんだったらしい。
著名であるということと、話が面白いということは別問題であることの良い例。

今日は北風がとても冷たかった。天気予報を見ると、明日はスコットランドは雪だそうである。

08/11/2001 (Thu)

昨日の天気予報どおりで、今日はかなりの寒波。
イギリス人も寒いと言っているので、これはもう本当に寒いんだと思う。
アラスカのフェアバンクスの鼻毛が凍る寒さをちょっと思い出した。
それくらい寒かったですたい。

明日のセミナーで発表が当たっているので、今日はその準備に専念する。
毎度のことではあるのだが、英語で喋る時は前もって喋る言葉をある程度決めておく。
今回の場合、大体は論文で使った文章を流用することで事が済むのではあるが、
発音が微妙だったり、アクセントがよく分からない言葉を置き換えたりということだけはしておいた。
そんな置き換えをしていると、最終的にはとても簡単な子供が喋るような文章になってしまう。
幼稚園児発表である。まあ内容も幼稚園児級なので、まあいいだろう。あきらめろ。

日刊スポーツのインターネットを見て、イタリア代表対日本代表の試合が引き分けであったことを知る。
どのくらいイタリアが本気だったのかは分からないが、とにかく引き分けたのはでかいぞ。
最近の代表は、フランス代表と試合をしすぎてどうもイマイチ自信が持てていないような
感じであったのだが、良く考えてみればフランス代表の力が別格なのである。
フランス代表以外と互角に戦えればそれでいいのだ。やっとそれに気づくことができた。
フランス代表のことは考えないようにしよう。彼らは宇宙レベルだから。W杯なんかに出ずに、
全宇宙サッカー大会にでも出場して、アンドロメダ星雲代表とでも試合をすればいいのだ。

しかし今週は全般的に出来事に乏しい週である。淡々と日々が過ぎていく。

明日はもう金曜日だ。

09/11/2001 (Fri)

今日は金曜日のセミナーで発表をした。

話した話題が最終的な解釈まで終わっているものなので、話やすかったし、評判も上々だったと思う。
今後似たような事例をもう少し集めて説得力を持たせるようにして欲しいという意見を多くもらった。
自分としても、いろんな季節についてもっともっと事例を見てみたいという気持ちはあるので、
来年はその作業を中心に仕事をしていきたいと思っている。

英語発表をしていて思うのは、喋るのは覚えたものを暗礁すればいいだけだから簡単だけど、
聴衆からの質問およびコメントに正確に応答していくのがやっぱり難しいなあということである。
現在の自分の英語力では、聴衆からの発言が、質問であるのか単なるコメントであるのかを判断する
ことすらけっこう至難の技で、質問されているのにコメントと勘違いしてしまうことも残念ながらある。
質問とコメントを区別するなんか良い方法はないもんかなとずっと考えているのだが、思いつかない。
ひたすら英語の聞き取り能力をあげるしかないのだろう。トレーニングあるのみである。

セミナーの後はパブに行ってビールを飲む。
Steveに京大で博士号を取ったらどうすんのか、なんかあてはあんのかと聞かれる。

そんなもんいきなり聞かれてもわかんねえよ。

とりあえず京都からは動きたいと思っているけど、今はなーんにも考えていないと答える。
職って考えて得られるもんではないよね。どれだけ積極的にapplyするかとタイミングなんだろうなあ。
イギリスでも職にありつくのはかなり大変で、Steveですら今年やっとLecturerの職を得たばかり。
科学者として飯を食べていく難しさはどこの国も同じようである。

10/11/2001 (Sat)

Emmaが隣の家の庭と自分の家の庭の間にフェンスを作ろうとしている。
先週はフェンス用の大きい板をDIYショップで買ってきていた。こげ茶の木の板である。
今週はフェンスを取りつけるポストを買うんだそうで、手伝いがてらDIYショップまでついていく。

DIYショップは日本でいうところのホームセンターとほとんど同じようなもの。
自分は実家が(というか親父が)けっこうDIYが好きだったので、子供の頃よくホームセンターに行った。
ベターライフという名前のホームセンターだったと思う。数年前に潰れて今はもう存在しない。
そんなことはどうでもよくて、イギリス版ホームセンターは日本よりもさらに原始的なものまで
売っているような印象を受けた。こんなもんプロの大工しか使わねえよというようなものがたくさん。

夕方からイングランド代表対スエーデン代表の親善試合がテレビ中継されたので見る。
両チームともワールドカップ出場権をすでに手にしているのでテストの意味合いが強い試合だった。
楽しみにしていた割にはシュートシーンが少なくて、ちょっとがっかりといったところ。
相変わらずベッカムはドリブルが下手で、足が遅くて、キックが凄まじい。
リバプールのMurphyという選手がかなり凄い。中盤でスコールズと組ませれば凄いと思うのだが。

サッカーを見た後で、ASDAに食料品を買いに行く。
もうこの買い出しもなれたもんで、手押しカートへ品物をどんどん入れていくようになってきた。
しかし、いつも買っているヌードルが今日は品切れで買えなかった。
サッポロ一番味噌ラーメンの麺に非常に良く似たヌードルで、いちばんのお気に入りだったのだが。
今日の注目商品は、「TERIYAKI SAUSE」。瓶に入った怪しげなソースである。
家に帰って、さっそく野菜炒めにかけてみる。ちょっと甘さがきついものの一応照り焼き味である。
まあ戦力として考えてやってもよいというレベルである。

11/11/2001 (Sun)

今日は昨日までとうってかわってとても暖かい。

中学の時の地理でイギリスは西岸海洋性気候に属していて、
夏は涼しく冬は暖かいということを習ったことを記憶しているが、
「冬暖かい」という表現は今日のような日のためにあるのだろう。
イギリスの気候はメキシコ湾から流れてくる暖流に支配されているということが良く言われるが、
今日はさぞやそのメキシコ湾流がぬくかったのだろう。ずっとぬるま湯であって欲しい。

暖かいので、レスターの街に行ってみる。行きがけに通る道には、
ここ数日の寒さで散ってしまった落ち葉が積もって10センチくらいになっている。
紅葉する間もなく散ってしまったものが多いようである。

イギリスでは小説がテープやCDに吹き込まれた形でよく売られている。
ビデオやDVDはイギリスの規格と日本の規格が違うため買って帰っても再生できないが、
CDは大丈夫である。日本で英語の勉強用にと思ってシャーロックホームズのBBCラジオドラマ
シリーズというのを買ってみることにする。ビデオのように安くはなくて、12ポンドもした。2000円くらい。
果たして日本でこれを聴いて勉強するでしょうか?

BBCで、「Blue Planet」という海の自然を扱った番組が放送されていて、毎回面白く見ていたのだが、
家に帰ってテレビをつけると偶然に、そのメイキングシーンをまとめたものが放送されていた。
人食いサメを接写したりしていたので、いったいどうやって撮ったのか非常に興味があったのだが、
メイキングを見ている限り、カメラマンが実際に海に潜ってとっていたようである。
ただし、サメ関係の時は、片手にカメラ、片手に槍を持って海へもぐっていた。まさに命がけである。
この「Blue Planet」シリーズは本当に良く出来た映像ばっかりで、もう一度全部見なおしたいくらい。
NHKがBBCから買いとって放送したりしないもんかと思う。

今日の夕食はEmmaの作った七面鳥のローストをもらって食べる。
先週の日曜はたしかLisaが作ったヒツジのローストかなんかを食ったはず。
日曜日はどうやら施しを受ける日らしい。いつかお返しをしないとな。

12/11/2001 (Mon)

朝大学に着いて、インターネットの日刊スポーツを見てみると、
京都パープルサンガJ2優勝決定というニュースが出ている。
優勝決定は来週だと思いこんでいたのだが、どうやら仙台がヘマをやったらしい。

J2優勝ということは必然的に、来年はJ1での厳しい戦いが待っていることになる。
今年のサンガはたまに変な負け方をすることもあったが、シーズンを通して、
一番順位の変動が少なかったチームではないだろうか。特に終盤の粘りは凄かったと思う
(「凄かったと思う」とか言う割にはインターネットでしか見てないですけど)。
この忍耐力というか精神的な持久力がJ1でも発揮できるかが課題であると思う。
加えて、実質的に使える戦力の補強も必要である。足の速いサイドバックが欲しい。右も左も。
今年の戦いから何かを学んだように見えるフロント陣に期待したい。
間違っても前園とか高木とか柱谷とかとまさかの高額契約をしないようにして欲しい。

しかし、京都での最終戦を見れないのは本当にかえすがえすも残念である。
ここはぜひとも黒部にハットトリックでもしてもらって得点王を勝ち取ってもらいたい。
J2得点王となれば、トルシエジャパンやガウチ社長が放ってはおかないと思う。特に後者。

今日は午後からLester教授と一本目の論文についての話をする。
先週にかなり丁寧に読んでくれたようで、詳細なコメントを膨大に頂いた。
この前の共著論文の時もかなりのコメントをもらった記憶があるが、
今回はそれを上回る量である。「全部マイナーコメントだから安心しろ」と事前に言っていた割には、
直すのが面倒くさいところを丁寧につかれているような気がする。

久しぶり(初めて?)であるこんなに論文をきちんと詳細に直してもらったのは。
普段は、ドラフトを家森先生に渡し、帰りの電車でチャッチャッと読んでもらって、
ちょっとした訂正をしたら論文完成という流れでやっているので、多少の違和感はある。
やっぱり家森先生の京阪電車帰り道チェックのほうが、平和でいいなあ。
しかしあんまり平和なところでずっと暮らしていると平和ボケしてしまうので気を付けないといけない。

今日の夕食はてんぷらを作ってみた。

だいぶ前に、Safewayで「TENPURA POWDAR」というのを買ってきていたのに、
なかなか使う機会がなかったのだが、やっと今日使うことができた。
豚のロースとか、しいたけ、さやえんどう、ねぎなどを「TENPURA POWDAR」をつけてあげてみる。
なかなかの上出来で、豚のてんぷらなどは、味が落ちたと言われる(というか二穴が言っている)
くいしんぼうの店銀閣寺店の豚天をはるかに凌ぐまろやかな出来映えであった。
「TENPURA POWDAR」はまだ半分残っているのでまたやろうと思う。今度は鳥天を超えたい。

BBCで、またNYで飛行機が墜落したというニュースが繰り返し流れている。
どうやらテロではないらしいが、本当にどうなっちゃったんでしょうかねえこの世の中はという感じ。
確立論的には自分がテロや飛行機事故に遭う確立はゼロに等しいということは分かっているのだが、
頭で納得していても気分的にはあまり飛行機には乗りたくないのが人間というものである。

13/11/2001 (Tue)

チェックしてもらった論文の手直しを始める。
論文を書くという作業もしんどいが、論文を直すという作業はさらにしんどさを感じる。
論文を書いているときというのは、ひとつの章を書き終わるとある種の達成感を得ることができて、
それを燃料にして次の章にとりかかることができるのだが、それに比べると、論文を直すのは、
ファイトを持続させるのがなかなか難しいように思う。モチベーションの持っていき方が難しい。
しかし、良い論文に仕上げる為には必要不可欠な作業であるので、いいかげんにはできない。

論文の直しと並行して、Emmaの解析の手伝いをする。
こちらは両半球でデータを増やして、さらに解析に厚みを持たせるという作業。
特に昭和レーダーの冬の観測がしょぼいので、データを増やしたことで改善されることを願う。

今日は、イギリスの大学および研究機関が持っている観測施設をもっと連携させようという会議が
レスターであったので、ビジターとともに夜はパブへ行く。ちょろっと飲んで解散かなあと
思っていたのだが、予想以上に長く飲むことになって、結局家に帰ったのは11時過ぎ。
金曜日と錯覚しそうになる火曜日であった。

14/11/2001 (Wed)

昨夜ビールを飲んでクカァーと寝たので今日は予想以上に早起き。
今日は寒さもそれ程ではなく、気分良く大学まで歩く。

今日は論文の直しを一時中断して、Emmaの解析の手伝いに専念。
しかし、最近本当にデータ処理とかプロットとかをするのが早くなったように感じる。
これはデータ処理からプロットまで全てをIDLでやるようにスタイルを転換した効果がでかいと思う。
やっと自分のデータ処理スタイルと言えるようなものができてきたような気がする。
その反面、CとかFortranといった言語をどんどん忘れていっているのが少し怖い。

今日の夕食にミートソースを作って食べたのだが、こちらに来て初めてまともに牛ミンチを食べた。
よく狂牛病はミンチが危ないと言われるので、それとなく避けるようにしていたのだが、
今日はうっかり忘れていておいしく食べてしまった。30年後にヤコブ病が発病するはずである。

夜はチャンネル3で007の最新作があるので、家中総出(といっても3名だが)で見る。
こっちに来てから3作目のジェームスボンドである。タイトルは「World is not enough」
Lisaが言うには、これまでの2回の放送は今回のテレビ放映の為の客寄せだろうとのこと。
日本でも、宮崎アニメが風切られる前にはかならず「魔女の宅急便」が金曜ロードショーで
放映されるが、それと似たようなもんであろうか。しかし、イギリスの人は本当に007が大好きである。
ボンドは英国のスパイなので当たり前ではあるが、この安定した人気は、
日本が誇るフーテンの寅に通じるものがあるように思う。

明日中に論文の直しを終わらせて、明後日からのパリ遠征に気持ち良く行きたいものである。

15/11/2001 (Thu)

朝大学に着くと、センター秘書の近藤さんからメールが来ていて、
論文査読の結果が京都に届いていたのでレスターにFAXしましたとのこと。
ほどなく、こちらの秘書のPatriciaさんが届いていたFAXを持ってきてくれた。

査読の結果は、いろいろといちゃもんをつけられてはいるが、
publishに対してはレフリー2人とも前向きに考えてくれているようである。
レフリーが誰かもなんとなく推測ができた。一人目はまず間違いなくフランスのSuperDARNの人で、
もう一人は再来週に行くことになっているBritish Antarctic Survey (英国極地研)の人だと思う。
Lester教授と共著者のSteve、Emmaにレフリーコメントをコピーして渡し、
月曜日の午後に、対応策について話をすることになった。
来週いっぱいでけりをつけたいところである。

滞在もあと3週間と少しとなってしまって、残り時間の少なさを多少気にしている。
レスターの人達との共同研究をまとめた論文に関してはある程度区切りをつけてから
帰国したいとは思っているのだが、作業できる日は実質15日くらいである。
日本に帰ってしまうとコミュニケーションがメールになってしまって、ちょっと不便なので
なんとかこちらにいる間にけりをつけたいとは思う。とりあえずはベストを尽くしましょう。

Emmaの論文の手伝いも今日でひと段落。
自分が担当している部分についてはなんとか終わらせることができた。
データを増やしたことで結果により厚みが出たように思う。めでたしめでたし。
この論文を通してしまえば、EmmaはD論の為に必要な3本の主著論文をクリアすることになる。
うらやましいことだ。きっかり3年でDを取れるのはなかなかすごいことだと思う。

明日から2泊3日でパリに遊びに行ってきます。

16/11/2001 (Fri)

パリ編なのでいつもよりちょっと長いです。ご勘弁。

朝6時起床。Emmaにレスターの駅まで車で送ってもらい、まずは電車でロンドンまで出る。
電車が遅れることを警戒して早めに出発したのだが、こんな日に限って定刻通りロンドンに到着。
地下鉄ピカデリーラインでLeicester Squareまで行き、そこでノーザンラインに乗り換えて、
Wataloo駅に着く。地下鉄でロンドンを動くのにはだいぶ慣れてきた。

Wataloo駅でユーロスターのチケットを受け取る。
レスター大学の旅行センターでチケットの認証番号というのをもらっていて、
機械にクレジットカードと認証番号を放りこめばチケットが出てくるというシステムである。
とっても簡単だった。チケットは飛行機のチケットとおんなじような感じで少し高級感がある。

出発の1時間くらい前にチェックインを済ませる。パスポートのチェックはなかったが、
テロの影響か荷物のチェックは厳しかった。待合室は空港とほとんど同じ印象。
免税店とか両替コーナーとかがある。電車の駅という感じはあまりしない。
ユーロスターという一種のブランドイメージを作るために空港と似た雰囲気にしているのだろう。

出発20分前に搭乗が始まり、10時53分ロンドン発ユーロスターで一路パリへ。
イギリス国内を走るのが1時間、ユーロトンネルが30分、フランス国内が1時間30分という時間配分。
イギリス国内は普通のイギリスの鉄道のようにのろのろと走っているのだが、
いったんフランスに入るとTGVとほとんど同じ超高速で運行する。新幹線と体感速度は変わらない。
フランスの風景はいかにも農業国という感じである。牧草地ばっかりのイギリスとは多少違う印象。

フランス時間14時ちょうどにパリ北駅に到着。ここでもパスポートチェックは無くそのまま地下鉄へ。
パスポートを一度も見せずにフランスに入国してしまう。こんないいかげんでいいのだろうか?
とりあえず、ホテルのあるSaint Michellというところまで行ってみることにする。
パリの地下鉄はどこまで行っても料金が同じというシステム。旅行者には分かりやすくていい。
10枚セットのチケット(カルネというらしい)を買う。カルネを買うときEmmaに習ったフランス語を
口に出してみる。「アンカルネシルブブレ(カルネ一つ下さい)」。一応通じた。
この他に知っているフランス語は、「ボンジュール」と「メルシー」だけである。
果たしてこれでサバイブしていけるのだろうか?

パリの地下鉄は、駅と駅の間隔が非常に短い。また、ドアは手でレバーを操作して開ける。
ロンドンの地下鉄と違って、ちょっと汚いという印象はあったものの、さほど分かりにくくはなかった。

Saint Michellに着き、うろうろし、ホテルを探す。何しろ土地感が全く無いので多少まごまごする。
しかし、セーヌ川が近くを流れているのを発見し、地図との対応関係が取れてからは、
問題無くホテルまでたどり着くことができた。ホテルはLatin Quarterと呼ばれる地域にある。
パリ大学のキャンパスがここらへんにあるようで、学生風の人が多い。

ホテルにチェックインして、荷物を置き、すぐに街に出てみる。
とりあえず凱旋門まで行ってみようと思い、セーヌ川にそって歩き始める。
途中でルーブル美術館を通りすぎたころに凱旋門らしき建物を見つける。
しかし、どうも少し小さいような気がする。これは変だと思い地図を見ると凱旋門は
まだまだはるか彼方であった。これはミニ凱旋門でした。まぎらわしい。

本物の凱旋門を目指してシャンゼリゼ通りを歩く。シャンゼリゼ通りを歩くからには、
「おおシャンゼリゼ」とかを口ずさみながら歩きたかったところだが、
風が強くて、猛烈に寒かったので、ほとんど苦行とも言える大歩行大会であった。
1時間くらいは歩いただろうか、やっと本物の凱旋門に到着。確かにでかい。
しかし、これまでになんども写真などで見ていたので、
あまりこれといった感情は沸き起こらなかった。まあこんなもんかという感じ。

凱旋門の近くで、警官に取り調べを受けている日本人の女の子を見かける。
スリにやられたのだろう。パリは、スリとかジプシーの集団がいっぱいいるから気をつけろとレスターの
人たちに注意されていたのだが、誰がスリで誰がジプシーなのかは最後まで良く分からなかった。
しかし、全体として(シャンゼリゼ通りや地下鉄の)雰囲気はロンドンよりも多少不穏かなとは思った。
別にびびるほどのもんではないが。第一取られるような高価なものを持っていない。

まだ明るかったので、ホテルまではセーヌ川の反対側の川岸を歩いて帰る。
途中でオルセー美術館を確認することができた。明日行ってやるぜと思う。

ホテルの近くのギリシア風のケバブの店で夕食を食べる。
一人旅の問題として、夕食をどうするかということがあるのだが、
ここらへんは安い食堂が多くあるので、なんの心配もない。よかったよかった。

お腹がいっぱいになったところで、ホテルに戻り明日の作戦を練ってから就寝。

17/11/2001 (Sat)

8時に起床して朝食をとって出かける。今日も猛烈に寒い。
パリがこんなに寒いとは知らなかった。イギリスよりもだいぶ寒い。
朝セーヌ川を渡るときの朝日が美しかった。

朝一番はピカソ美術館。ここは今回の旅行で一番の目玉。一番行って見たかった。
ホテルから歩いて10分くらいだったと思う。場所がちょっとややこしかったがなんとかたどり着く。
この美術館はピカソの若い頃から晩年までの作品を年代順に展示している。
初期のピカソの絵は、人がまだ人の形をしているのだが、年代を追っていくにつれて、
だんだん目とか鼻が変なところに移動していく。最後のほうはほとんどむちゃくちゃであった。
絵画部門での一番はこれで、彫塑部門はこれでした。ここはとにかくおもしろかった。
パリに行くことがあったならぜったいお薦めである。

ピカソ美術館でだいぶ時間を使ってしまったので、急いで次の目的地オルセー美術館へ向かう。
オルセー美術館の前まで来るとものすごい行列である。100メートルくらいならんでいる。
しかし、オルセーには是非とも入ってみたかったので列の最後尾に並ぶ。
寒風吹きすさぶ中待つこと20分、やっと中に入ることができた。
チケットを買うところで国際学生証を見せたが、割引は無し。残念である。

オルセーは鉄道の駅であったものを改築して近代絵画を展示している美術館である。
特にこの絵が見たいという気持ちがあってきたのではなく、この建物の中を見てみたかった。
建物のなかは縦方向に空間を広くとってあり(要は吹き抜けということ)とても居心地がいい。
空間をぜいたくに空けておくという建築はヨーロッパ人が得意みたいである。

絵画については、あまりに膨大な量だったため、全てを集中して鑑賞するスタミナが続かなかった。
ゴッホとかロートレックのあたりはそれなりに面白く見ることができたけれど。
しかし、ピカソの絵を散々見た後に来たので、どれも印象に残りにくかった。
韓国風焼肉のあとの野菜サラダのようなもんである。
オルセーの最上階にあるカフェで遅めの昼食。もう2時を回っている。急がねば。

次は、オペラ座を見に行く。コンコルド広場からオペラ座にかけては有名ブランドのお店が
軒を連ねている。当然、それに群がる日本人の群れがちらほら。
グッチとかギャルソンにちょっと入ってみたいような気もしたが、
ショップの買い物袋をもった日本人を見るとなんとなくその気が萎えてしまった。
別にブランドを買いあさる日本人を非難している訳ではないのだが
(実際ベネチアでは自分もプラダとかで買い物をしたわけですし)、なんとなく気分が乗らなかった。
それにグッチやギャルソン買ってどうするという問題もある。レスターで着る訳がないのである。

オペラ座のあたりは、パリ市内でもっとも繁華街なのではないだろうか。
土曜日ということもあってかなりの人であった。しかし、パリの歩道というのは非常に汚い。
犬糞(けんぷん)や犬尿(けんにょう)が至る所に存在している。かなりの注意が必要である。

オペラ座の中はある程度までただで見学することができて、中に深く入ろうとすると金を取られる。
ただで見れる部分だけでも、その空間の広がりは分かるので金を払って奥までは行かなかった。

EmmaとLisaには大変お世話になっているので、なんかお土産を買おうと思い、
ショーウインドウにチョコレートやワインが並べてある店に片っ端から入ってみる。
トリュフチョコレートを買おうと考えていたのだが、値段を見ると予想以上に高いことが判明。
100グラムで1000円近くする。500グラム入りの箱がいっぱいあるのだが、そんなもん高くて買えない。
店員に300グラムとかでも売ってもらえるのかと尋ねると、OKだと言う。
そこで奮発して300グラムを購入。豪遊と言って良いだろう。といっても自分のものではないが。

Lisaが来週誕生日なので、Lisaにはワインを買う。ワインのことはなーんにもわかんないのだが、
ワインの店に入って物色。どれもなかなかのお値段である。Medocの1996年というものが手頃
なお値段だったので、それを買う。これは2000円くらいであった。ワインの知識が多少でもあれば、
これが安いのか高いのか分かるのだが、ワインなんて赤と白があるくらいしか知らないので
判断のしようもない。このワインの店で、ロンドンの友人にもみやげにチーズを買う。

お土産をひととおり買ったらもう6時を過ぎている。
当初のプランではエッフェル塔に行こうと思っていたのだが、だいぶ遠いし、
歩き疲れてかなりへばっている。ということで今回は遠くから眺めるだけにしておく。
ちょっと残念。でもエッフェル塔なんてただのタワーである。見なくても死にはしない。

夕食はやはりホテルの近所の安食堂で食べる。ビールでも飲もうかと思うものの、
寒いのでコーヒーにした。これくらい寒いとある一定の間隔でコーヒーを飲まないと体が冷える。
ホテルに帰ってお土産やらをパッキングしてから就寝。

18/11/2001 (Sun)

今日は11時43分のユーロスターでイギリスに帰らねばならないので、
朝早くホテルをチェックアウトし、ホテルの近くのノートルダム寺院に行く。
この寺院の歴史的な背景とかはまったく知らないのであるが(ガイドブックが英語なので、
あまりちゃんと読んでいない)、予想していたよりも良かった。前にレスターに来たときに行った
リバプールの英国国教会の大聖堂と同じくらいの内部のスケールであった。
やっぱりでかい建物は面白い。

ノートルダム寺院を見終わったところでタイムアップ。パリ観光終了である。

10時30分に地下鉄でパリ北駅に到着。ユーロスターの写真をとってからチェックインをする。
パリに来る時は一度もパスポートを見せなかったのだが、
パリを出るときはパスポートの提示をいきなり求められる。
おまけに、パスポートの写真と自分の顔がどうも違うという嫌疑をかけられて、尋問を受けた。
最後は、お前の国の挨拶を言えと言われ、「こんにちは」と言わされる有様。
レスターに来て髭がのびっぱなしなので、国際派テロリストと疑われたのかもしれない。
パスポートもコピーされたりしてなんとなく要注意人物的な扱いを受けてしまった。
レスターに帰ったら髭を剃ろう。

帰りのユーロスターでは、食堂車に行って食べ物を買って食べた以外はずっと寝ていた。
昨日一日歩きつづけたのでちょっと疲れているのかもしれない。

14時20分ロンドンWaterloo駅到着。イギリスの入国審査は、入国審査カードを書いて、
パスポートを見せるだけでなんなく終了。Heathrow以外の入国スタンプをゲットした。
地下鉄にのってSt.Pancras駅まで行ってレスター行きの電車にのる。15時発。
この電車がなんと1時間30分の遅延。電車のエンジントラブルらしい。
電車は結局レスターで運行を停止。それより先に行く乗客は代替の交通機関を使うことを
余儀なくされていた。よくレスターまでいってくれたもんである。不幸中の幸い。

7時前に家についてEmmaにみやげを渡す。トリュフチョコレートは高かっただけあって大好評である。
そりゃそうである。あんだけの値段でまずかったら訴えるところだ。

2泊3日のパリへの小旅行はかくして終了。
今度は、もうちょっとフランス語ができるようになって行きたいもんである。

19/11/2001 (Mon)

週末は遊び呆けていたので反省の意味も込めて今日は早起き。
8時30分には大学について研究を始める。二ノ宮金次郎並みに勤勉である。

今日の午後に論文の査読結果について、Lester教授、Steve、Emmaと話をするので、
もう一度レフリーコメントを詳細に読んでみる。両レフリーともに季節とかMLTとかについて、
データを全部足し合わせていることがどうも気に入らないようである。
足し合わせても問題がないということを図で示すなりしなければならない。
また、レーダーのノイズレベルがどうたらこうたらということも言われていてこれもチェックする
必要がありそうに思える。

午後、レフリーコメントについて共著者達と話をした結果、
季節とMLTについてデータポイントがどれくらい変わるかあらわした図を加えることになった。
また、ノイズが南北半球でどれくらい違うかについても確かめてみることにする。
一般に北半球のほうが人間の生活電波が多いので、ノイズレベルは高くなるのであるが、
そんなに違いはないように思う。まあきちんと確かめてみないとなんとも言えないが。

明日と明後日で、今週に金曜日のイギリス国内学会の発表予行をやるそうで、
Cowley教授に火曜と水曜どっちがいいか聞かれる。まだなんの準備もしていないので、
できれば水曜日にして欲しいと答える。明日はその準備をしなければならない。ああ大変だ。

今日の夕食は缶詰のチキンカレー。この前ASDAで買っておいたものである。
しかし、どうも味が物足りなくて、醤油をかけて食べる。醤油をかけているのを、
Lisaに見られてしまい、「Oh, God」と言われる。そりゃおかしく見えるわな。

20/11/2001 (Tue)

どうもパリから帰ってきてからイギリスの寒さがあまり堪えなくなってきた。
今日にしても決してあたたかいわけではないが、パリに比べればだいぶましだ。

今日は論文の改訂作業と学会の発表準備の両方をやって大忙し。
おまけに午後からは学会予行があるのでそれも聞かなければならない。
発表10分、質疑応答2分の時間配分でリハーサルも行われる。
予行の風景というのは世の東西を問わないようで、スタッフが学生に細かい注文をつけている。
学会予行と言えば、スタッフの細かい注文にみんな文句をぶーぶー言うもんであるが、
これは京都大学の我々のグループだけのことではなかったらしい。

仕事がかなり立て込んでいて、今日は6時まで大学で仕事をする。
さすがに6時ともなるとグループの人はほとんど帰ってしまっている。
本当にきっちり5時にかえるのだなと改めて思った。

夜は、楽しみにしていたチャンピオンズリーグの2次グループの試合がテレビである。
リバプール対バルセロナ。これはかなりの良いカードである。
最近リバプールのサッカーがかなり面白く思えていたので、リバプールを応援したが、
結局3対1でバルセロナの勝ち。やっぱり選手の層に違いがあるように思えた。
リバプールには良い選手がいっぱいいるが、バルサと比べるとやはりみんな多少小粒に見えてしまう。
ビッククラブの金の力が勝ったということであろうか。

21/11/2001 (Wed)

今日はヨークというところでSAMNETという磁場観測システムのカンファレンスがあるので、
EmmaとLisaは早朝6時から出かけていった。車で3時間かかるそうである。

今日は午前中いっぱい、論文査読に対する返答をするための解析作業をする。
この作業は、元データに立ちかえってやらなければならないので結構大変である。
Steveにデータをどうやってテープから落としてくるかを教わってデータの収集作業。
テープの形式が京都のものとちょっと違うので慣れるまでちょっと気を使った。
データを集めてから、ノイズがどの程度解析結果に聞いているのかをチェックする。
Steveにノイズデータの形式を教わったりしてなんとかできそうな感じになってきた。
明日にはきちんとまとめたいところである。

午後は、今週金曜日の学会の発表リハーサル。スタッフとポスドクの前で発表練習。
自分では10分くらいで話し終えたと思っていたのだが、時間計測係のJimの口から出た言葉は、
「15 minutes !!」。5分もオーバーしてしまった。これはだいぶ内容を削る必要がありそうである。
この話題はこのまえのセミナーでも話したネタなので、英語に慣れてきていろいろ無駄なことまで
喋りすぎたということもあるかもしれない。Steveに「観測結果だけを示して解釈はごく簡単に触れる
程度でいいんじゃない」という意見をもらう。まあ10分の発表だったらしょうがないかもしれないな。

今日からEmmaの彼のAndrewが再びやってくることになっている。
家に帰って飯を食っているときにちょうどAndrewが車で到着したので、いっしょにビールを飲む。
日本の下宿ではまったくビールを飲まないのだが、レスターに来てから結構飲んでいる。
この家のリビングにはだいたいEmmaかLisaのどちらかがいるので、なんとなくビールでも飲みましょうか
ということになっている。ひょっとしたら悪い癖をしょいこんでしまったのかもしれない。

EmmaとLisaは9時過ぎに帰宅。
Lisaに今日のカンファレンスの配布資料を見せてもらったら、能勢さんのPi2ウエーブレットプロットが
うじゃうじゃでてきた。センター直伝ゴリゴリのカルコンプ系である。
そういえば能勢さんのPi2検出はヨークのステーションを使っていたなと思う。

早朝に出発したのでいささかお疲れのようで二人ともアリーを見ずに寝てしまった。
というわけで、Andrewとアリーを見てから就寝。男ふたりで見るアリーマクヴィールもなかなかいい。

22/11/2001 (Thu)

昨日のリハーサルで時間を大オーバーしたので、今日は発表内容を削る作業を行う。
頑張って作ったプロットとか英語の文章がお蔵入りするというのは本当にもったいない。
しかしまたいつかどこかで披露する機会があることを祈ってボツにする。
スライドを2枚削ってちょうど10分で終わるような分量に収まった。
なんどかテストで練習してみたところ、誤差30秒以内で10分に収まることがわかった。
完成したパワーポイントのファイルをグループの共用ノートパソコンに移して、
明日の学会で使えるようにする。これでひと安心。

ちょうど今日から日本の国内学会が博多で始まっているはずである。
残念ながら今回は不参加。久しぶりに九州に行ってみたかったので本当に残念至極。
PMSEの話を電離圏熱圏のセッションで話してみたかったりもしたのだが。

明日の発表の準備が整ったので、残りの半日は論文のリバイスに戻る。
ノイズの計算をしてみたところ、やはり北半球のほうが100倍くらいノイズが多い。
やはり北半球の方が電波が多く飛び交っているのである。
南極は電波的には非常にクリーンであることもわかった。
サイエンスとは全く関係のない話ではあるがなかなか興味深いことである。
しかし、このノイズの違いが自分の論文の結果にどうかかわってくるのかが良く分からない。
というかレフリーがなんでノイズなどを持ち出して文句を垂れているのかがイマイチ不明。
レフリーコメントの英語がわからないのではなく、近藤さんに送ってもらったFAXがここだけ
不鮮明で文字の判読がいまいちできていないのである。こまったにゃー。

明日は、朝7時に大学に集合して、貸しきりバスでロンドンの学会会場まで乗り付けることになる。
朝が早いので、早めに寝ることにする。明日は、またロンドンである。

23/11/2001 (Fri)

今日はロンドンで学会なので6時起床。天気予報通り、抜群に寒い朝である。
Emmaは学会には行かないのでLisaとバスにのって大学へ向かう。

7時15分に全員が集合し、小型の貸切バス(20人乗り)でロンドンへ出発。
3時間くらいかかってロンドンの学会会場に到着。学会会場のまん前までの送迎である。
会場は、ピカデリーサーカスのすぐそばのNational Geological Societyという建物である。
通りの向かいは紅茶で有名なフォートナムメイソン。ロンドンの中心街である。

自分の発表は午後の遅い時間なのでそれまではずっと他の人の発表を聞くことに専念。
イギリスのコミュニティがどんな領域の研究をやっているのかがなんとなく把握できたように思う。
太陽圏と電離圏の二つの領域の研究者が圧倒的に多い。それ以外の領域の研究者は極少数。
太陽圏はインペリアルカレッジが締めていて、電離圏はレスターが締めているという感じである。

昼休みが1時間30分もあったので、ピカデリーサーカスの日本食材の店に行ってみる。
この店は、日本から輸入した商品を売っているのであるが、値段が法外に高い。
なんか良いものはないかなと思ってあれこれ見ていたのだが、やはり値段が高いので
インスタントラーメンと生味噌ずいだけを購入。これだけで5ポンドもする。800円くらい。

自分の発表は4時から。発表前はさすがにちょっとナーバスになったが、始まってしまえば、
まずまず落ち着いて喋ることができた。聴衆もしっかりきいてくれていたように思う。
リハーサルでは15分かかった発表時間も、きっかり10分で終了。スライドを減らして良かった。
質問がひとつとコメントがひとつ。どちらにもきちんと応答することができた。成功と言って良い。

5時ちょうどに学会終了。

帰りの貸しきりバスが来るまで、学会参加者の一団でパブに行く。
「発表なかなかよかったじゃん」とか言われていい気になり2杯もビールを飲んでしまった。
寺沢先生が京都にいたころにポスドクで京都に居たという女性研究者と話す。10年以上前の話らしい。
また、自分が発表をしたセッションのコンビナーの人に、「Mathews知っているか?」と聞かれる。
最初どのMathewsさんかと思ったのだが、どうやら地球物理学教室のMathews教授のことらしい。
日本に帰ったらMathewsによろしく言っておいてくれと言われる。「Of cource」と安請け合いを
したものの、個人的にはMathews教授のことはあんまり知らない。こまったちゃんである。

6時30分にバスでロンドンを後にする。

バスに乗る前にトイレには行っていたのだが、バスが走り出して30分もしないうちに尿意が
堪えがたいレベルに達し、ガソリンスタンドでバスを止めてもらう。おしっこ騒動勃発である。
これは大失態と思って恐縮しつつトイレに向かうと、続いてみんなぞろぞろ降りてきてトイレに来る。
みんなが、「敬祐がバスを止めなかったらあと2分で俺が止めていた」とか言う有様。
なんだみんなおしっこしたかったんじゃん。誰か先に言えよ。英語の下手くそな俺に言わせるな。

去年の夏に、二穴や小田木さんとラフティングをしに行った時にも
おしっこ騒動が勃発したことを思い出した。あの時も車に乗る前にビールを飲んでいた。
もう二度と車に乗る前にビールを飲まないと今日ここで神様に誓おうと思う。
そうしないと、いつの日か、おもらし大学院生という肩書きを持つことになってしまう。
そんな不名誉だけはなんとしても避けたい。

9時30分にレスター到着。家に帰りついたのは10時であった。長い一日で、とても疲れた。
しかし、発表もまずまず良い出来だったし、シアワセな一日だったと言って良いと思う。

24/11/2001 (Sat)

今日はEmmaの誕生日である。25歳になるそうだ。
レスター大学には修士課程というものが存在しないため、EmmaはD3であるが、
まだ25歳なのである。Ph.Dが最短で25歳で取れるというのは少し羨ましいような気もする。

しかし、そんなシステムであるため、Ph.Dを取ってもまだまだ実力がついていないことが
往々にしてあるようで、サイエンスの業界で飯を食っていこうと思ったら、
Ph.Dを取った後数年間ポスドクとして修行をしなければいけないらしい。
どんなシステムであっても、サイエンティストとして一人前になるには、
5年から10年くらいはかかってしまうようである。まだ自分もかけだしである。

夕食をイタリア料理の店まで食べに出かけた。
イタリア料理の店と言ってもそんなに高級なところではなく、手頃な値段のお店。
フンギのピザを食ってワインを飲んでひとりあたま11ポンド。2000円程度である。
食事をした後は、バーによってまたビールを飲んで帰ってきた。
今日はなかなか楽しい一日であった。

25/11/2001 (Sat)

昼前に電話が鳴って、Emmaが出たところ敬祐の親父から電話だと言う。
電話をかわってみると本当に父直毅である。英語があまり得意ではないのに、
勇気を出してよくかけてきてくれたものである。後でEmmaに聞くと、
「My name is Keisuke's father」と言ったらしい。Emmaは瞬時に理解したそうである。
親父殿、上出来です。しかし、厳密に言えば、親父の名前は「直毅」であって、「敬祐の父」ではない。
まあ通じればそれでなんの問題もない。重要なのは相手が理解できるかどうかである。

午後から、Lisaのご両親が来られた。
来週から2週間スリランカに休暇をとって旅行に行かれるそうで、
実家で飼っている犬をあずけに来たということであった。

犬は室内犬で名前をMitziという。人懐っこい犬でいっしょに生活するのが楽しみである。
年齢は11歳。人間の歳に換算すると77歳だそうである。老犬であるわりにはしっかりしている。
しかし、老犬に共通の特徴として良く寝る。しかも、イビキが凄い。

Lisaは本当に両親を足して2で割った顔をしている。間違い無くこの両親から産まれた子供である。
自分も両親の特徴をかなりうけついだ顔および体の形をしているらしい。
特に親父とはそっくりなんだそうだ。ちなみにウチの親父はオール阪神とうりふたつである。

Lisaの親父がかなりきさくで面白い人でいろいろ話しをさせてもらった。
Lisaの英語も訛りがあまりなく、比較的聞き取りやすいが、親父さんの英語も同様で、
会話もやりやすかった。イギリス人に悪い人はいないということを改めて感じた。
知り合う人全てが、とてもきさくでやさしい。まだたくさんの人と知り合っているわけではないし、
知り合う層もある程度限られているので一概に言うことはできないが、
それでもイギリス人は良い人が多いということは記憶しておきたい。

26/11/2001 (Mon)

こちらで居るのも残すところ2週間ばかりとなってしまった。早いものである。

レスター大学との共同研究の成果である論文の仕事に関してはなんとか区切りをつけて帰りたい。
すでに最初のレフリーコメントが届いている論文のリバイスとこちらで書いた論文の投稿である。
大学で作業ができるのは残り9日。ちょっと無理っぽい気もするがなんとか頑張りたい。

明日の午前中にLester教授、Steve、Emmaと論文のリバイスの方向性について再度話をするので、
今日はその準備をする。追加するプロットを作成し、リバイスコメントをもう一度読み返してみる。
なんども読み返して、だいたいどんな感じで修正すればよいかはイメージできてきた。
後は英語をひたすら書くだけである。急げ急げ急げ。

昨日の夜、ニュースを見ていて、「あれ?、英語が急に理解できるようになっているんではない?」
というおぼろげな感触を得ていたので、家に帰ってから、ひたすらニュースの英語を聞いてみる。
昨日の感触は夢とか幻想ではなくて、ある程度本物であった。急にニュース英語が分かるようになった。
「英語を日本語を経由せずに理解する」という感覚がなんとなく理解できてきたような気がする。
英語の理解力は日本に帰れば当然急速に落ちるのだろうが、この感触だけは失いたくないものである。

しかし、ニュース以外の英語、特にドラマの英語はまだあまり分からない。3割くらいしかわからない。
ニュース英語というのはだいたいにおいて理解しやすくできているのであろう。
残り2週間でどれだけ向上することができるのだろうか? 非常に興味深い。

27/11/2001 (Tue)

今日は朝の9時30分からLester教授、Steve、Emmaと論文のリバイスについてミーティングをする。
レフリーのコメントに沿って修正をしたプロットをもとにどうやって論文を直していくかを相談。
その結果、もう少し図を作りなおす必要がでてきたので、また明日の午前中にミーティングを
することになった。論文のリバイス段階でディスカッションをすることができるのは非常に有用。
この論文のリバイスを京都でひとりでやっていたらと思うとちょっとぞっとする。

研究室の長尾さんの日記でCOE研究員の制度が来年からなくなるということを知る。
Ph.Dを取った後は、学振研究員のポストとCOE研究員のポストで食いつなぎながら業績を積み上げて、
職探しをするんだろうなあと漠然と思っていたのであるが、そのうちのひとつが無くなってしまった。
どういう経緯で制度が廃止になったのかにちょっと興味がある。不況の影響ですかね?

研究者として生活をしていくことがどの程度難しいのかははっきりいってよくわからない。
斎藤さんのように楽観的な思想の人(「なんとでもなるんじゃない」派閥)と、
ただすさんのように悲観的な思想の人(「世の中結構厳しいよね」派閥)が居る。
自分は、とりあえず楽観的な思考をしつつ、楽しいポスドク生活を送りたいなあと思う。

家に帰ってからふとしたことからEmmaと研究の話になる。
家では研究の話はタブーなのかなとずっと思っていたのだが、
タブーなどというような大仰なものではなく、単にしないというだけのことらしい。
仕事と私生活をきっちり分けるこっちの生活にだいぶ慣れてきたせいなのかなんだか妙な感じである。

我々の業界には、研究者夫婦が結構居るが、彼らは家で研究の話をしたりするんでしょうかねえ。

28/11/2001 (Wed)

昨日に引き続いて朝の9時30分から論文のリバイスについて4者会談。
改訂の方針が大筋で決まり、後は文章の直し、レフリーへのコメントを書くだけということになった。

「書くだけである」

とは、Steveが言った言葉であるが、この「書く」というのが我々日本人には大変な作業なのだよ。
おそらくその大変さは君たちには生涯理解することはできないだろうね。「だけ」じゃない。

Steveとかは主著論文を年間5本から6本くらい書くのだが、どんなに優秀な日本人研究者でも
さすがにこのペースは無理だろうと思う。年間3本くらいが限界だろうか。ちょっとしたハンデである。
となるとおのずと道は決まってくると思う。いいアイデアを出して、数は少なくても質の高い論文を
書くことである。ただ、現在のところ研究者に対する評価というのは質より量。これが問題です。

今日はEmmaのご両親が家に来られた。

Lisaのご両親は、というか親父さんは、いかにもいいおっさんという感じのきさくな人であったが、
Emmaのご両親はなんとなく上流階級っぽい印象を受けた。ものごしがとても穏やかな感じ。
よく、イギリスの社会には階級というものがあってという話を聞くが、これがもしかしたらそうなのか?
Emmaは学部は名門ケンブリッジだったというし、ひょっとしたらいいところのお嬢なのかも知れない。
しかし、微妙な話なのでEmmaとLisaに確かめてはいないから何とも言えませぬ。

今日はアリーマクヴィ−ルが二本立てで放送される。9時から10時45分まで。
アリーの英語も前よりだいぶ分かるようになってきた。この前までは話の内容がおおまかに
掴める程度であったのだが、今日はわりと細かいところまで理解できたような気がする。
というかこれまで、話の内容もわからないのによく毎週見ていたもんだなと思う。

明日中に論文のリバイスを終えて、金曜日は、朝からケンブリッジに行く予定。

29/11/2001 (Thu)

今日は雨模様。雨というのはある程度厄介なもんであるが、雨が降ると暖かいからうれしい。

おもいっきり西岸海洋性気候な日。

来年の2月に南アフリカで開催されるなんちゃらかんちゃらというシンポジウムで発表するように
と極地研の佐藤先生から言われていたので、レジストレーションをインターネット経由で行う。
南アフリカは緯度的にも経度的にも日本とかなり反対の場所にあるので、行くのが大変である。

レジストレーションを行った後に、論文の直しをしていたら、
秘書のPatriciaさんが自分宛てのFAXを持ってきてくれた。
FAXは、南アフリカのシンポジウムの事務局からのもので、
シンポジウムの開催が急遽中止になったのでごめんなさいという内容。

なんですと?

せっかく今日レジストをしたのに。文面を詳細に読んだところ、参加者が20人を割ってしまったので、
事実上開催がむずかしくなってしまったとのこと。南アフリカが遠いから皆敬遠したのだろう。

季節は夏だし、楽しみだったのだが残念である。アフリカ大陸初上陸はまたの機会になってしまった。
それにしても、レジストをして数時間後に開催中止のFAXを受け取るなんて珍事件だ。

午後にレスターの駅までいってケンブリッジ行きの電車の時刻を確かめる。
7時28分というのと8時51分というのがある。どちらにすべきか迷うところであるが、
さすがに7時28分というのは早すぎるので、8時51分にしようと思う。
これに乗れば、10時30分くらいにはケンブリッジに到着するはずである。

明日の朝が早いので、今日は早めに寝ます。

30/11/2001 (Fri)

朝8時51分レスター発の電車でケンブリッジに行く。
英国極地研究所の人達と研究の話をするのが主たる目的で、
土日はケンブリッジの街を見物する予定である。

11時前にケンブリッジの駅に着く。ケンブリッジは世界的に有名な街であるが、
駅は非常にこじんまりとしている。街自体の規模はそんなに大きくないらしい。
レスターのほうがだいぶでかい。

英国極地研までは4マイルくらいあるそうなので、駅でタクシーを捕まえる。
タクシーの運ちゃんが果たして英国極地研究所を知っているか心配だったのだが、
行き先を告げると、即座にOKサイン。イギリスのタクシー運転手は優秀らしい。

受け付けで訪問の約束をしていることを告げると、訪問予定者リストと照合の後、
ビジター用のネームプレートを作ってくれて、クビからぶら下げるように言われる。
しばらくして、自分を呼んでくれたMike Pinnockが受け付けまで迎えに来てくれた。
彼は、イギリスの南極基地HalleyのレーダーのPI (Principal Investigater)で、
SuperDARNプロジェクトには、初期段階からずっとかかわっている人である。

英国極地研は日本の極地研よりちょっとだけ大きいかなという印象である。
しかし、南極基地用の物資のコンテナなどが置かれているのは日本の極地研とおんなじ。

ここでSuperDARNの研究をしているのは、Mike PinnockとGareth Chishamという若手の二人。
英国極地研のグループは自分のやっている研究と非常に近いことをやっている。
レーダーのスペクトル幅を利用して磁気圏から電離圏へのエネルギー流入を調べようという試み。
この研究をやっているのは、ここのふたりと、自分、Emma、フランスのAndreという人の5人くらい。
ちょっと前まではAPLのBakerという人がかなり精力的にやられていたのだが、
今年からNSFに移ってしまったので、今はこの5人くらいということになる。

たがいの研究内容がとても似ているということで、ディスカッションは非常に有意義であった。
論文にはなっていない非常に重要ないくつかの研究結果を教えてもらうことができた。
大きな収穫である。今日のディスカッションの結果を踏まえて、論文を修正する必要も感じた。

6時くらいまで、研究の話をしてから、ホテルまで車で送ってもらう。
ホテルはケンブリッジの中心街に非常に近い場所。街を歩くのにはとても便利である。
今日は朝早起きで、長いこと研究の話をしたのでかなりくたびれた。
数時間レベルの長さで英語の会話をすると非常に頭が疲れているのを感じる。
まあ、MikeとGarethも日本語英語をたくさん聞かされてさぞ疲れたことだろう。お互い様。

ホテルでテレビをつけるとビートルズのジョージハリソンの死去が報じられている。
ジョージハリソンは、ビートルズのなかでは比較的印象の薄い人である。
ドリフターズに例えると、仲本工事だろうか。加藤茶というには存在感が少し足りない。
ポールマッカートニーがいかりやで、ジョンレノンが志村けん、リンゴスターがブーといったところか。

ちなみにローリングストーンズで同じ例えをやると、ミックジャガーがいかりやで、
キースリチャ−ズが志村、ロンウッドが茶、ビルワイマンが工事、チャーリーワッツがブーである。

今日は非常に暖かかったが、明日は寒いらしい。

01/12/2001 (Sat)

今日は、朝からケンブリッジの街をぶらぶらする。
非常に小さい街なので歩いて全ての観光スポットに行くことが可能。

地球の歩き方イギリス編を日本に忘れてきたので、
Mike Pinnockにもらった地図のコピーだけがたよりである。

まずは、Fitzwilliam美術館というところに行ってみる。
ここはケンブリッジで一番大きな美術館で、Mike Pinnockにも行くことを勧められた。
パリで美術館めぐりをしたときに、「絵を見るのは結構疲れる」ということを認識していたので、
最初はちゃっちゃと片付けようと思っていたのであるが、ここの絵はなかなか面白いのが多くて、
2時間ほどかけて見てまわることになった。何故か分からないがオルセーの絵よりも入りがよかった。

「イギリス人は絵を書くのはヘタだが、絵を評価するのは得意」という言葉があるそうである。
たしかに、イギリス人の有名な画家というのはあまり聞いたことがない。
しかし、絵を集めたり、その価値を評価するのは得意と言われるだけあって、
いろんなところからいろんな絵を膨大に集めている。イギリス人の収集癖はものすごい。
イタリア、フランスはもちろんのこと、日本の浮世絵や、ブラジルの絵画(!)もあった。
ブラジル人が絵を書くとは知らなかった。ブラジル人はいつもサンバを踊って、
サッカーをしているもんだとばかり思っていた。とんだ誤解だったようである。

美術館を出てから、ケンブリッジの観光名所である大学のキャンパスとやらを見に行く。

地図を眺めてみると、ケンブリッジ大学というおおきな枠組みは実在せず、
いくつものカレッジと呼ばれる教育機関が点在しているようである。

このカレッジとユニバーシティの関係はいまだによく理解できていない。
学生はカレッジに住み、カレッジで飯を食い、カレッジで授業を受けるそうだ。
ケンブリッジ大学というのはこれらのカレッジの総称といったところなのだろうか?

街の中心部をケム川という川が流れており、その川にそって有名なカレッジが並んでいる。
どのカレッジも観光客にある程度まで解放されており、中を見物することができるようになっている。
最初のキングスカレッジの中庭が非常に素晴らしく、写真を撮ろうとデジカメを取り出したのだが、
メモリーカードをパソコンに入れっぱなしにしていることに気づく。パソコンはレスターに置いてきた。

予備の電池を持ってくることばかりに気を取られて、肝心のメモリーカードを忘れてきたのである。
写真を撮ることを諦めざるを得なくなった。まあいい、写真なんか取らなくたって、死にはしない。
頭で記憶しておけばいいだけの話である。というわけでケンブリッジの写真は無し。

後は、たくさんのカレッジを順に見ていくだけで日が暮れる。
建物は素晴らしく大きいし、芝生はとてもきれいであるが、
ずーっとみているとさすがに飽きた。

ケンブリッジの印象

街は非常にこじんまりとしており、とても静かであった。緑も多くて気持ちが良い。
どことなく百万遍大学と似ているようなところもある。自転車が異常に多いところとか。
京都もある程度大学の街であるため、どことなく性質が似るのかもしれない。

02/12/2001 (Sun)

ケンブリッジ3日目。

今日は午後の電車でレスターに帰る予定なので、
ダウニングカレッジというカレッジに付属している考古学博物館だけを見ることにする。

考古学というのは基本的に後ろ向きの学問であると個人的には思う(別に否定している訳ではない)。
しかし、太古のものごとを想像するというのは楽しい作業のようにも思える。
創造的な学問領域とは言えないが、想像的な学問領域と言うことはできるような気がする。
かといって自分でやろうとは思わないが。

さて、考古学博物館である。
イギリス人の収集癖のなせる技なのかどうなのかはわからないが、
膨大な考古学資料(化石のたぐい)が所狭しと陳列されている。
アンモナイトの化石などは同じようなものが何百何千と並べられている。
普通は何百何千のうちの何個かを選んで見せるものであるが、全部置いてある。
集めたものは全部みせびらかすというのがイギリス人のやりかたなのだろうか?

考古学博物館を出て、ケンブリッジの駅まで歩く。
昨日に引き続いて今日もなかなか寒い日。
はく息が圧倒的に白い。

12時44分の電車でケンブリッジを離れる。帰りの電車も時刻表通りの運行。
イギリスの電車は異なる幾つかの鉄道会社がそれぞれの路線で運行を行っている。
しかし、駅や線路は基本的に共通で、切符も共通の窓口で買うことになる。
日本では、JRの切符はJRの窓口で買うし、京阪の切符は京阪の窓口で買う。
というかそれ以前に、京阪の線路を阪急電車が走ったりすることはない。
日本と比べる限り、このイギリスのシステムはとても奇妙に見える。
イギリスの電車がしばしば遅延を起こすのはこのシステムのせいなのかもしれないなと勝ってに思う。

今日から名古屋大学の西谷さんがレスターに来ているので、
駅前のカレーレストランで夕食をいっしょに食べる。
それもあって、ケンブリッジから早めに帰ってきたのだ。

西谷さんはレスターで数日滞在した後に、サンフランシスコのアメリカ地球物理秋学会に行く由。
うちの研究室からは、二穴、津川、山下の3人が行くことになっているはずである。
うらやましい、うらやましすぎる。もういちどくらいサンフランシスコには行ってみたい。

明日から最後の1週間が始まる。仕事のまとめをしなければ。大変ですたい。

03/12/2001 (Mon)

今日は午前中に英国極地研でディスカッションした内容をLester教授に話す。
そのディスカッションの内容を受けて、論文を多少修正することを考えていたのであるが、
「今の段階では無視しよう」ということになった。Mike Pinnockには申し訳ないが、
話をあまりややこしくしたくないので。レフリーがまた何か言ってきた時用の奥の手で残しておく。

なんとか今日の内にリバイスのほうの論文は原稿を書き終えることができた。
後は、レフリーへのコメントを書けば終わりである。少し先が見えてきたという感じだろうか?
このリバイスが終われば、ケーススタディの論文を完全に仕上げる作業をするだけである。
木曜日にもう一度Lester教授と話をして共同研究の最終的なまとめをすることになった。

残り1週間になったところで、今回の滞在でどれくらいの成果があったのかを省みてみる。
論文を2本書くことができたのは非常に良かったと思う。当初は論文書きと並行して、
新しい解析をやろうということを考えていたのだが、途中で前に投稿した論文のリバイスが
帰ってきてしまい、それに時間を取られて新しい解析のほうはほとんど進まなかった。
しかし、人生というものはまあそんなもんで、予定していたことというのは大体において
予定通りには行かないものである。点数をつけるとすれば80点から90点くらいの出来だろうと思う。

レスターでの自炊生活も残り6日になったので、食料を使い切ることを考えて夕食を作る。
今日は缶詰のミンチ&オニオンというのをご飯にかけて食べてみる。
これはどうやら本来の食べ方とはかなり異なるもののようで、非常にまずかった。
おそらく本来の使い方はミートパイの具として使ったりするのであろう。大間違いである。

04/12/2001 (Tue)

今日はレフリーへのコメント書き。
自分にとっては、論文本体よりも書くのが大変に感じる作業である。
研究というのは大体において楽しい作業であるが、これだけは何度やっても嫌になる。
それでもなんとか今日の内に終わらせることができた。よかったよかった。

今日の夕食は、Emmaがカレーを作ってくれる。今日のカレーはとてもおいしいカレーであった。
京都大学の生協でたまにメニューとして出てくるキーマカレーというのと良く似た感じ。
しかし、いかんせんこっちのカレーはルーが少ないので、ご飯が余ってしまう症候群に悩む。
我々がカレー1に対してライス1の割合で食べ進めていくのに対して、こちらの人々は
1対2くらいの割合で食べているように見える。そうしないとご飯があまってしまうのだ。

今日はチャンネル4で映画「Leon」がある。Lisaもこの映画が大変好きらしくて、いっしょに見る。
Lisaが映画を評価するときに使う言葉は2種類、「Good film」と「Bad film」。
その中間の言葉は未だに聞いたことがない。デジタルな表現である。
自分も「Leon」は何度か見たことがあるのだが、英語で、かつ字幕無しで見るとまた感じが違う。
ちなみに、主役のジャンレノはLester教授とそっくりであり、Lester教授婦人は元ヤクルトスワローズ
監督の土橋氏にそっくりである。まあそんなことは激しくどうでもいい豆知識である。

05/12/2001 (Wed)

今日は猛烈に風が強い日である。体が飛ばされそうになるほどの勢い。台風並みである。

今日を入れて大学で作業ができるのはあと3日である。
ケーススタディのほうの論文を最終的に直す作業をなんとか終わらせたいところ。
しかし、あと2週間くらいレスターでいられたらもうちょっと余裕を持ってできたのになあと思う。
しかし、今回の滞在の金の出どころの決まりとして3ヶ月以内の滞在であることというのがあるので、
研究に区切りがつこうがつくまいが強制終了の時は自動的に来てしまうのである。

Lester教授に詳細にチェックしてもらったケーススタディの論文をコメントに沿って直す。
幾つかチェックしなければならない論文をコピーしたりしたのだが、ここに来てまた帰りの
荷物が多くなってしまうことが多少嫌である。特に論文関係は紙なのでとても重い。
郵便で京大まで送ることを考えたほうがいいのかもしれぬ。問題は金がどれくらいかかるかである。

昨日、Lisaが映画「Bridget Jones' Diary」のビデオを買ってきたので今日はそれを見る。
この映画はこの前まで映画館で上映されていたものであるが、もうビデオで発売されており、
値段は11ポンド(2000円強)である。イギリスは本当にビデオが安い。
日本のビデオデッキで再生できるのならいっぱい買って帰りたいところなのだが、残念ながら不可能。
もし可能なんだったら輸入で巨万の富を築くことができそうなくらいの価格差である。

映画の内容は、女子は楽しめるだろうなという印象。Lisaの評価も、「Good film」である。
自分は男子、かつ日本男児なので、凄く面白いというところまではいかなかった。

06/12/2001 (Thu)

これがイングランドからの最後の更新となる。
残りは帰国してから更新するですたい。もっとも無事に帰国できればの話であるが。
FBIが次のテロがいつ起こりそうかという警告を定期的に出しているのだが、
次の危険日は12月11日。そう、自分が帰国する日です。どんぴしゃり。グッドタイミングである。
まあ、タイ航空のバンコク経由だし、アメリカとはほとんど関係なさそうなので大丈夫だとは思う。
しかし、警告を受けて、空港関係のセキュリティが厳しくなり、余計な時間がかかるかもしれぬ。

今日の午後は、Lester教授と最後の研究の話。
リバイスの処理を終えたことや、ケーススタディの論文を明日渡そうと思っていることなどを話す。
ひととおり研究の話をした後に、今回の滞在が実りあるものだったと思うかと問われる。
論文を形にできたのは非常に評価できるが、新しい研究を始める時間が無かったのが残念と答えた。
Lester教授に、論文を形にしたことの意義がでかいから、新しい研究ができなかったのはしょうがない
ことだと言われた。新しいレスターとの共同研究のアイデアは日本で続けるということになった。
具体的にはレスターが持っている人工衛星のデータと昭和レーダーの比較研究である。
人工衛星の軌道のプロットをJimにもらっているので、それを見つついいイベントを京都で探す。

今回の滞在は期間が多少長かったので、プリントアウトした文書が結構な量になった。
とても持ちかえることはできないので、郵便で送れないものか秘書のPatriciaに聞いてみる。
その結果、明日文書の重さを量って、どれくらいコストがかかるか考えようということになった。
Fedexのようなもの(Fedexかもしれない)が使えるようで、多少割高であるが4日で着くという。
もし、あまりに文書が重くてコストが高ければ郵便にしましょうということらしい。

5時30分頃にそろそろ帰ろうかなと思っていたら、コーネルの斎藤さんからTalkがかかる。
イサカは昼過ぎだろうか? 京都の計算機経由でアメリカの斎藤さんとChat。
奇妙な通信方法である。近況の話などをする。斎藤さんの帰国は2月後半のようである。
斎藤さんがアメリカに行ったのはついこの間のような気がしていたが、もう2年経つのだな。
Talkをしている間に、みんな帰ってしまって誰もいなくなってしまったので、慌ててTalkを終了し帰宅。

今日も食材使いきりキャンペーンは継続しており、ツナとパスタを片付けた。
これで残っているのは、SUSHI RICEが一合くらいと缶詰のカレーだけとなった。
これを土曜日に片付けることになる。

07/12/2001 (Fri)

今日が大学で仕事ができる最後の日。

午前中にこちらでやった仕事関係でプリントアウトした文書を日本へ送る。
秘書のPatriciaにいろいろな配送業者の価格を調べてもらった結果、郵便が一番安いということになる。
ダンボールに文書を詰めて郵便局まで持っていって手続き。60ポンドかかった。一万円近い。
非常に高くてもったいないがが、10キロもの文書を手で持って帰ることは事実上無理だし、
飛行機で超過の料金を取られないともかぎらないのでしょうがないことであろう。
これは正しい選択だったと必死に納得する。

午後は論文をSteveとEmmaに渡してチェックしてもらうようにお願いする。
日本の共著者にも帰ったら見せないといけないので、まだまだ投稿までには時間がかかりそうである。
共著者が多いというのはそれはそれでなかなかやっかいなものである。
しかし、レスターの人達に見てもらうと英語が直ってくるのでそれは非常にありがたい。

とにかくこれでレスターでやるべきことは全て終わった。

昼の3時からSteve、Tim、Darrenと生協のバーにビールを飲みに行く。
レスターでの仕事をすべて終えたので多少の充実感があり、ビールもうまい。
日本では明るいうちのビールはどうもいけないことという印象があるが、
こっちの人達はそういう印象はもっていないようである。昼真っからじゃんじゃん飲む。

夜は送別会ということで、カレーを食べに行く。
カレーを食べに行く時は必ずパブを経由してから行くことになっている。
パブでビールを飲んでお腹が減ってからカレーを食べるのでとても美味しく感じる。
レスターのカレーはやはりおいしい。最近はだいぶメニューが理解できるようになってきていて、
どれが自分の口に合いそうか分かるようになってきた。今日はかなりからめのものを頼んで成功した。

帰りはLester教授の奥さんが車で家まで送ってくれる。
Lester教授の奥さんとはこれでお別れである。いろいろのお礼をいって車を降りる。

明日は、午後からLester教授とプレミアリーグを見に行く。相手はサウスハンプトン。
Lisaの彼のMikeがサウスハンプトン大学の天文学の助手をしていて、
サウスハンプトンをサポートしている。どちらを応援すればいいか少し迷うところであるが、
まあレスターを応援するのが筋というものであろう。

08/12/2001 (Sat)

今日がレスターで生活する事実上最後の日である。
午前中に洗濯物を片付けてパッキングの準備をする。
こっちで買った靴下とか、古びたパンツなどは荷物の軽量化のために捨てることにする。
少々もったいない気もするが、自分はパンツや靴下など安くて買い換えが聞くものをなぜかしら
長年にわたって使いつづけてしまう癖があるので、良い機会だと思うことにする。

午後からLester教授とプレミアリーグを見に行く。大学で待ち合わせてスタジアムへ。
今日の相手はサウスハンプトンでレスターの一つ下の順位にいるチームである。
ここで勝つことができれば降格争いから抜け出すことができるようである。

試合は立ちあがりからサウスハンプトンのペースでレスターは絶不調である。
いい感じでチャンスを作るものの決定力が絶対的に不足していて点がとれない。
逆にサウスハンプトンの方が少ないチャンスをものにして何と4ゴール。
ボールの支配率だけを見ているとそんなに差があるようには思えないのだが、
結果だけを見ると4対0。完敗もいいところである。

今日のゲームを見ていて、レスターはなんらかの補強をする必要があるように思えた。
そうしないと多分降格してしまうような気がする。レスターは新しいスタジアムを今建設中で、
スタジアムのオープンをDivision1で迎えるというのはどうしてもやってはならないことである。

大変だ。

夜は、Emmaが大学の演劇部のミュージカルのバックでバンド演奏をするので見に行く。
大学の構内にシアターがあり、そこで定期的にミュージカルの公演があるようだ。
Emmaはバックバンドでアルトサックスを演奏する。当然英語なので話しの細部までは
分からなかったが、シアターが小さいためにステージが近くてとても迫力があった。

明日レスターを離れるので、EmmaとLisaがカードとプレゼントをくれる。
プレゼントの中身はカレーのペーストだった。日本に帰ってもレスター式のカレーが食べられるように。
帰ってもククレカレーを食べることは許されないということらしい。これまた大変である。

09/12/2001 (Sun)

今日はいよいよレスターを去る日である。朝9時に起きて最後に荷物をチェックする。
文書などは郵便で送ったがそれでもなかなかの量の荷物である。ヒースローまでが大変だ。

10時にAdrianとKelleyが家まで来てくれる。
Adrianは金曜の送別会に用事があって来れなかったので、
今日わざわざ来てくれた。ありがたいことである。
Emma、Lisaとは家の玄関でお別れである。
本当にこの二人にはなにからなにまで世話になった。
言うなれば、自分のイギリスの母親と姉貴といったところか。
まあ、この二人はSuperDARN系統の研究をしているので、
来年のSuperDARN Workshopで会えるだろう。
Adrianに駅まで車で送ってもらい、駅でお別れ。
本当にレスターの人達には世話になった。
まあ、これが今生の別れという訳ではない。

11時3分の電車でロンドンへ。日曜日は電車が別の路線を運行するため(理由は不明)、
ロンドンまで2時間以上かかる。まったく困ったシステムである。

13時過ぎにロンドン到着。ホテルをとってあるアールズコートという地下鉄の駅が改修工事の
ため閉鎖されているので、その隣の駅で地下鉄を降りる。ホテルの場所はなんとなくわかっていたので、
とくに面倒もなくたどり着くことが出来た。ホテルはインターネット経由で予約していたので、本当に
予約できているのか多少気がかりであったのだが、問題なくチェックインできた。

友人のMと3時にピカデリーで待ち合わせをしているので、チェックインしてすぐに街へでる。
Mと合流し、ナイツブリッジへ行ってお買い物。最近とんと洋服やら靴を買っていなかったので、
大ショッピング大会。カンペールの靴でずっと欲しいと思っていたものをカンペール直営店で購入。
冬物のセーターが足りていないので、MIUMIUのざっくりしたセーターも買う。大満足のショッピング。
しかし、また帰りの荷物をいたずらに増やすことになってしまった。まあイギリス滞在の記念だ。

買い物を終えて、中華街で夕食を食べる。ロンドンの中華街は本当に美味しい。
はらいっぱい食べて、二人で18ポンド。あんだけ食べてこれだけというのは凄いと思う。
飯を食った後は、スターバックスでMと話をする。くだらない話からけっこうまじめな話まで。
イギリスで生活することでどんなたぐいのストレスを感じるかを聞いてみる。
Mの話では、やはり日本人というのは非常に几帳面であるらしい。
そのために、他の人種(イギリス人、アフリカ系、インド系)のいいかげんさが気になるんだそうだ。
それを克服するためには自分もある程度いいかげんになる必要があるとのこと。

自分のこの3ヶ月のイギリス滞在を振り返って見る。
当然、収支はプラスで、とても自分のためになった滞在であったことは言うまでもない。
しかし、外国で暮らすということがどの程度大変かということも少し理解できた。
全てを完璧にやろうとするとちょっと嫌になる。良い意味でのいいかげんさが必要な気がした。
まあ、Mの場合と違って自分は英語のほうがまだまだなので、Mの場合と同列に比較はできないが。

英語はサイエンスの話に関して言えば、だいぶ自信がついてきたとは思う。
しかし、実際の生活で用いる英語はまだまだである。思っていることが満足に伝えられない、
もしくは相手の行っていることが全てわかるわけではない、といったことから来るストレスも当然あった。
しかし、どれくらいのことをやればどれくらい英語でのコミュニケーションができそうかというだいたいの
感覚はわかったような気はする。日本でいる限り英会話学校などに行ってもおそらく無駄ということも。

10時前にMに借りていた携帯電話を返して、別れる。Mにもあいかわらず世話になりっぱなしである。
Mは来年の夏に就職活動で日本に戻ってくるので、その時に、京都を案内することを約束する。

10時過ぎにホテルに戻り、荷物を最終的にまとめて就寝。明日の朝は早い。

10/12/2001 - 11/12/2001 (Mon & Tue)

6時に起床して、準備をしてホテルをチェックアウト。
フライトは11時なので早過ぎるくらいなのだが、地下鉄の朝のラッシュを避けたかったので、早く出た。
ヒースローには8時過ぎに着く。タイ航空のカウンターでチェックイン。

ポンドがだいぶ余っていたので、お土産の紅茶を買う。
ヒースローの免税店にもフォートナムメイソンの紅茶は置いてあるのでここで買う。
大学用のティーパックと自分用の葉っぱを2缶。こんだけ買っておけばだいぶ持つと思う。
これで土産などの買い物も全て終了。まだポンドがだいぶ余っているのだが、
また来ることもあるかと思うので使い切ることはしなかった。

イングランドですることは完璧になくなった。音楽などを聴いて残りの時間を潰す。
フライトは11時発タイ航空911便。イングランドともしばしの別れである。

バンコクまでまずは11時間20分のフライト。
やはり10時間を超えるフライトはしんどいもんであるが、
今回は、映画が4本も放送されたのでその苦痛もいくらかましであった。
しかし、窓側の席であったのでおしっこがしたくなるたびにとなりの人を起こすのが少し大変。
また違った意味でのおしっこ騒動勃発である。

凍えるようなイングランドから一気に熱帯のバンコクへ来たからかどうかわからないが、
バンコクで飛行機を降りたころからどうも鼻水が止まらなくなる。
おしっこ騒動に続いて鼻水騒動勃発である。
これからまた寒い日本へ帰らねばならないのでからだの温度調節機能が心配である。

日付が変わるからかどうかはわからないが、バンコク発関西空港行きのチケットはヒースローでは
発券されていなかったので、トランジットカウンターで発券してもらう。
ヒースローからバンコクまでの便では窓側の席で、おしっこ騒動が勃発したので、
関西空港までの便では通路側の席にしてもらう。やっぱり空いているなら通路側が楽だ。

今回の旅もこのフライトを終えれば終わりということになる。
なんとなく少し感傷的な気分になっているような気がする。
日本に帰ってゆっくりしたいという気分はもちろんあるのだが、
それ以上にこの旅が終わってしまうということにむなしさを感じる。
なんだか沢木耕太郎的な書き方でバカ丸出し恥ずかしい限りであるが
本当のことなのでしょうがない。

バンコク時間9時10分に飛行機はバンコク空港を離陸。蒸し暑いバンコクとも数時間でお別れである。
機内はがらがらでとても楽なフライトとなった。がらがらであるために添乗員も多少手持ち無沙汰
らしく、飲み物を頻繁にすすめてくる。勧められるままにビールやらワインやらを飲んでいると、
本気で酔っ払ってきてしまう。旅の終わりを一人で祝うひとり飲み会である。
よっぱらって気持ち良く寝ることが出来て、起きたら関西空港に着いていた。
入国審査、税関などもスルスルと通過することができて17時18分のはるかで京都に帰る。

京都駅からはゴージャスにタクシーを使い、19時前に下宿に到着。

これで自己最長(といってもたった80日であるが)の旅が終了。
前回とどうように、レスターのひとびととロンドンの友達、京都でいろいろ助けてくれた二穴に感謝。

                                                 Fin



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